鼻笛の魅力広めたい 上達すれば自在の音色 創作家・奏者、森田奈津美さん
小さな仮面のような物を鼻に取り付け、伴奏に合わせて奏でる。「鼻笛」といい、鼻から吐く息で音が出る。口の中の空間の大きさで音の高さを変える仕組みで、上達すればメロディーを自在に操れる。南米で生まれたとされるが、諸説あるという。 【動画】生徒の校歌「音程が低い」赴任した中学校長、始業式で抱いた違和感 もとの楽譜を調べてみたら 鼻笛に出合ったのは3年ほど前。鼻笛を制作する作家の交流サイト(SNS)で演奏動画をたまたま見つけた。「どうやって音が鳴るんだろう?」。大学(京都市立芸大)では陶磁器を専攻。授業でオカリナを制作したことがあり、自分で鼻笛を作ってみたくなった。 構造を調べるためプラスチック製の鼻笛を購入。ネットの画像なども参考にしながら、見よう見まねで作ってみたら、意外に簡単にできた。卒業後はあまり工芸をやっていなかったが、鼻笛に魅せられ、創作意欲に火がついた。 ただ当初はうまく音が出なかった。そこで、阪神地域で活動する鼻笛団体のイベントを訪ねて鳴らすこつを教わり、鼻笛制作についても助言をもらった。試行錯誤を重ねるうち「鳴り」も良くなり、近作は3オクターブまで出せる。デザインの基になるのは大好きな爬虫(はちゅう)類。竹炭と一緒に焼くため、黒みがかった渋い色合いが特徴だ。 2022年8月に兵庫県加古川市内のカフェで開いた鼻笛の個展をきっかけに、作品の購入者と一緒に演奏するようになった。23年には「加古川はなぶえ練習会」を発足。今夏からは東播磨生活創造センター「かこむ」で月1回開催し、毎回7人程度が参加する。 「誰でも鳴らすことができる。陶器製できれいな音が響き、奏法により芯のある音も、ハスキーな音も出すことができるのが魅力」とアピールする。 作品は、イベントなどで「MATEKI」という商品名で販売。練習会などの情報はインスタグラム(「もりたなつみ」で検索)で。(増井哲夫)