大谷の「1014億円」巨額契約、税金もとんでもないことに? 税理士が試算
エンゼルスからFAとなっていた大谷翔平選手が12月9日、ドジャースと合意したいことを発表した。金額はなんと、10年総額7億ドル(約1014億円)という超巨額なもので、メジャー史上最高額となった。 大谷は9月に右肘手術を受けているため、来季は打者に専念することになるが、2025年以降のシーズンは二刀流を復活させての活躍を目指している。 凄まじい金額になったが、税金もとんでもない額になるのではないか。税理士に聞いた。 ●前提となる条件は? 前提として、独身でカリフォルニア州(アナハイム)在住として、年俸=事業利益=課税所得と仮定して米国所得税を算定します。 米国在住183日以上で米国所得税の申告義務者になります。なお、カリフォルニア州は住んでいる間の所得全てに対して州税がかかります。 ちなみに、大谷選手は日本の所得税法上は非居住者のため(国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人である居住者以外を非居住者と言います)、国内源泉所得(日本国内で獲得した所得)のみ所得税率20.42%で日本の所得税が源泉徴収されますが今回のケースでは、日本での収入はないものと仮定し日本の所得税は0と仮定します。 なお、7億ドル(約1014億円)で 10年契約ですが、1年平均でも連邦税、カリフォルニア州税とも最高税率になるのは明白ですので、それを前提に計算しています。 ●税金は500億円を突破 大谷選手の契約規模7億ドルの場合、$174,238.25 + 37% ×(7億ドル-$578,125)=約2億5,896万ドル、1ドルおおむね145円のため、米国所得税はおおむね375億4,924万円になります。 さらに、カリフォルニア州税は、最高税率の12.3%が適用されます。計算式は、$65,835.52 + 12.3% ×(7億ドル-$677,275)=6,148万ドル、1ドルおおむね145円のため、カリフォルニア州税はおおむね124億8,196万円になります。 所得税+州税を合計すると、おおむね500億3,120万円になります。 報道によると、実際の年俸は贅沢税の対象となるサラリー総額を下げる目的で半分以上が契約終了後の後払いのようです。 また、上記連邦税州税以外に日本でいう社会保険料となるソーシャルセキュリティー税(老齢者、遺族、障害者保険)12.4%とメディケア税2.9%(老齢者、障害者医療保険)を給与に対して発生し、雇用主と雇用者で半分ずつ折半して負担しますのでそれぞれソーシャルセキュリティー税6.2%、メディケア税1.45%を負担します。ソーシャルセキュリティー税は年間課税対象上限額が毎年定められており、2023年度は、$160,200です。 また州の傷害保険に給与の1.1%負担が必要です。 【取材協力税理士】 福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、公認不正検査士、行政書士 監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。 事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社 事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/
弁護士ドットコムニュース編集部