広がる“男女の政治的な分断”「MeToo運動」がきっかけに? ニューヨークZ世代が背景を考察
◆MeToo運動は女性たちが立ち上がる転機となった
男女の政治的な分断が広がった最大の要因として、世界的に広がった「MeToo運動」が考えられています。Z世代評論家のシェリーは「長いあいだ続いてきたセクハラや性暴力などに対して声をあげる力を得たと感じた若い女性たちのあいだで、強いフェミニズム的価値観が生まれています。そういうことによって、女性がより変化を求めリベラル化している。そう考えると筋は通っているなと思うんですよ」と所感を述べます。 では、なぜ男性は保守化が進んでいくのでしょうか? ラボのメンバーから意見を聞きました。 メアリー:#MeTooと分断はつながっていると思う。特に#MeTooに関しては、ときには「ちょっとやりすぎ」と思うことが起きているのも事実だし。うまく表現できるかわからないけど、例えばMeToo運動について、男性は「もうオフィスの同僚とジョークも言えなくなった」と感じることがあるんじゃないかな。 そういう男性のなかには、「女性はやりすぎ。あまりにも敏感に受け取りすぎ」と考える人もいる。その結果、責められていると感じて、より防御的な姿勢をとるようになる。そのために、より保守的な考え方に向かっていくんだと思う。 ヒカル:個人的には、MeToo運動が男性の社会的な居場所を失うほどのものだったとは思えないな。でも僕は、MeToo運動に否定的な感情は抱かなかったよ。年配の世代は違う受け止め方をしたかもしれないけど。 社会に自分の声を届けることは重要だと信じている。女性が社会での平等な地位を求める、努力の結果だと思っているよ。 ケンジュ:もし、男性がMeToo運動に反対する場合、むしろその人が共感力を持っていないからだと思うけどね。 MeToo運動と連動したフェミニズムの高まりで、男性は「居場所がなくなった」「責められている」と感じて防御的な姿勢をとり、より保守化しているのではないかとラボメンバーは考えます。 アメリカでは2022年、人工妊娠中絶に関する最高裁判断で、これまで合法だった中絶が多くの州で違法になりました。そうした影響もあり、女性の人権に関する意識が飛躍的に向上しましたが、男性の意識はそれほど上がっていないと分析されています。アメリカ、イギリス、ドイツでは、若い女性の移民問題や差別問題に関する共感力が男性よりもはるかに高く、リベラルな考えを持っています。 日本ではまったく同じデータはありませんが、同性婚に関して30代以下の女性の9割は「賛成」と、男性75パーセントに比べて15ポイント高い結果に。夫婦別姓に関しても、10代20代の女性の9割と、男性の7割に比べて高いです。つまり、女性のほうが変化を求めていると言えます。 日本には「リベラルと保守」という対立軸ではないかもしれませんが、変化を求める者とそうでない者は存在します。シェリーは「『私のほうが余計に働いている』とか『犠牲になっている』という気持ちになっちゃうのが一番よくないです。そうならないためにも“共感力”を使って乗り越えていきたいですね」と話し、話題を締めくくりました。 (interfm「sensor」2024年3月1日(金)放送より)