明秀日立・石川ケニー 「粘ったが負けては意味がない」 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第8日の27日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦があり、明秀日立(茨城)は市和歌山に1―2でサヨナラ負けした。明秀日立の石川ケニー(3年)はチーム唯一の適時打を放った。 【市和歌山vs明秀日立 熱戦を写真で】 市和歌山の大会屈指の好右腕・米田に対して「鉄則」を実践し、チーム唯一の適時打を放った。 0―0の六回1死三塁、1ボール2ストライクと追い込まれると、バットを指3本分短く持ち直した。「追い込まれたら短く持って、コンパクトに振り抜く。入学以来ずっと言われてきた」。2球ファウルでしのぎ、6球目の低めの球をたたきつけた。高く跳ね上がった打球は前進守備を敷いた二塁手の頭上を越え、均衡を破った。「粘った後にうまく打てたのは良かった」 父はハワイの独立リーグでプレー経験があり、米国出身の母を持つ主将。持ち味の強いスイングをさらに磨くため、冬場は筋力トレーニングに励んだ。「スイングの力強さも体幹も強化してきた」。その努力が実った一打だった。 だが、その顔には悔しさがあふれた。今大会は2試合で9打数2安打。この試合も適時打を放った打席以外はすべて打ち取られた。「先発の猪俣が踏ん張って投げていた。もっと援護しなくちゃいけなかった」。最後は右中間へ大きな飛球を運ばれ、サヨナラ適時二塁打。右翼手として届かない白球を力なく追うしかなかった。「やられた、くやしいという思いだった」 チームとしてもセンバツ2回目の出場で、初の8強入りを逃した。「粘ったが試合に負けてしまったので意味がない。点を取れる時に取っておかないと。もっと集中力が必要だった」【木村敦彦】