ヒットも納得──新型ホンダ・ヴェゼルe:HEV X HuNTパッケージ試乗記
60km/hまでは極上!
乗り出してから加速していくときの、スムーズな加速感と静粛性と乗り心地のよさは、ヴェゼル最大の特徴といえる。とくに60km/hまでは極上で、これが200万円台で実現されているのは驚くべきことであると思った。 実際、エンジンの開発担当者によると、「市街地での洗練されたドライブ感覚が開発の最大の眼目」だったそうだ。HuNTパッケージの、感触のよいブラックのファブリックと、濃い目のブルーを使った合皮張りのサイドサポートのシート(どことなくマセラティ的)は、見た目も座り心地も良い。 実は、e:HEVの前輪駆動モデルにも乗ったとき、高速道路では路面からの突き上げが大きく感じられた。先述のとおり、サスペンションのダンパーの減衰力が見直されているそうで、このセッティングのせいだろうか? それに対し、4WDモデルはよりしっとりしている。 もうひとつ、気になったのは、アクセルペダルを踏み込んだときのパワートレインからの音。エンジンサウンドの甲高い音がけっこう大きいのだ。ゆえに、高速走行が多い人は、ガソリンエンジン搭載の「G」グレードでも良いかもしれない。 ハンドリングは常にダイレクト感があり、速度域にかかわらず、操縦性が高い。ここは変わらない。山道のようなカーブの続く道でも、しっかりした加減速とともに、ハンドルを切ったときの車両の応答性もよく、ドライバーとの一体感が感じられる(音は大きいけど)。 「都会からアウトドアまで気軽に繰り出せるアーバンSUV」というのが、今回のマイナーチェンジにおいて、掲げたキャッチコピー。個人的には、市街地から山岳路へと向かう途中の高速走行性がさらに洗練されれば、ヴェゼルのe:HEV、さらに無敵ぶりに磨きがかかると思った。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)