佐々木朗希〝ドジャース大本命〟で注目される敏腕代理人の「シナリオ構成力」 他球団スルーなら〝密約説〟再燃
令和の怪物が海を渡る。佐々木朗希投手(23)がポスティングシステムでの移籍をロッテから容認され、球団側の申請手続きが進められている。12月15日に締め切られた後、MLB30球団と45日間の交渉期間に入るが、移籍先の大本命とされるのがドジャースだ。ただ、米国内では密約説をささやかれるほどの〝蜜月関係〟に疑惑の目が向けられており、佐々木の代理人サイドが描く「シナリオ構成力」も問われている。 【写真】佐々木朗希がファン感であいさつ 佐々木は17日にZOZOマリンスタジアムで行われたイベントで、チームや球団への感謝を述べた上で「アメリカで頑張ってきます」と初めて肉声でファンにメジャー挑戦を表明した。 その夢への橋渡し役を務めるのが敏腕代理人のジョエル・ウルフ氏だ。大手代理人事務所「ワッサーマン・メディア・グループ」に所属し、顧客にはダルビッシュ(パドレス)や千賀(メッツ)らを抱え、昨オフには山本とドジャースとの間で12年総額3億2500万ドル(約465億円=当時)の超大型契約をまとめた。 ただ、従来の移籍交渉と異なるのはMLB球団との接触が解禁される前段階から、米メディアを中心にドジャース入りが「既定路線」かのように伝えられている点だ。 今年4月には「USA TODAY」の敏腕記者、ボブ・ナイチンゲール氏が「ドジャース以外の選択肢はあり得ない。私たち全員が知っていることだ」との某GMの談話を紹介。佐々木サイドとドジャース側の「密約説」がささやかれ、今月に入って同氏が「ドジャースと佐々木の代理人であるウルフ氏は、そのウワサを強く否定している。移籍先はまだ決まっていない」と〝火消し〟に走る事態となった。それだけに交渉を主導するウルフ氏にとっては難しいかじ取りが迫られる。 現在、23歳の佐々木にはマイナー契約からスタートする「25歳ルール」が適用され、契約金や年俸総額も大幅に制限される。スポーツ専門局「ESPN」が「典型的なフリーエージェント(FA)での入札競争ではなく、大学スタイルのリクルート戦」と報じたように、移籍交渉の争点は金銭面ではなく育成計画などの「環境面」が重視されるとみられる。 マネーゲームもなく、安価で超逸材を獲得できるビッグチャンス。ところが、ロサンゼルスやニューヨークほど日本人居住率が高くなく、一定のアジア系マーケットを持たない都市に本拠地を置くMLB球団の関係者からはこんな冷めた声も聞かれた。 「佐々木サイドが地理的に興味を持ってくれるとは思えない都市のチームが、育成プランなどを練るのは時間のムダのように思う。今回の交渉については、あえて〝勝てない勝負〟に参加しないチームも出てくると思う」 同じく「25歳ルール」では、大谷翔平投手(30=ドジャース)が2017年オフに日本ハムからエンゼルスに移籍したが、当時のような熱狂ぶりとは全く異なるようだ。 大谷のポスティング移籍では代理人のネズ・バレロ氏がメジャー全30球団に対して「自身に対する評価」と「育成プラン」を問う質問状を送付。投打二刀流の可否とバックアップ体制を判断するため、最終的にレンジャーズ、カブス、マリナーズ、エンゼルス、ドジャース、ジャイアンツ、パドレスの7球団と面談を行って新天地を決めた。 ところが、今回の佐々木に関しては大谷ほどの争点もなく〝ドジャースありき〟が付いて回る状況。東海岸のメディア関係者も「どういう理由付けで最終的にドジャースに着地させるのか、させないのか」と目を光らせている。 仮にドジャースを選び、他球団との面談をすっ飛ばせば密約説が〝再燃〟しかねない。ウルフ氏はどのような形で交渉を進めていくのか。その手腕が注目されている。
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