何を変えようとしている?自民憲法草案(11)緊急事態 緊急事態宣言の効果
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと、考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第11回は、草案に新設された第9章「緊急事態」第99条をみていきます。
何人も国その他公の機関の指示に従う
草案99条「緊急事態の宣言の効果」では、緊急事態の宣言が出た場合、内閣は「法律と同一の効力を有する政令を制定」することができ、内閣総理大臣は「財政上必要な支出その他の処分」を行い、「地方自治体の長に対して必要な指示」をすることができる、と記載しています。政令の制定や処分については、「事後に国会の承認を得なければならない」としています。 宣言が出た場合、「何人」も「宣言にかかる事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」と書いています。この場合においても、草案14条(法の下の平等)、同18条(身体の拘束及び苦役からの自由)、同19条(思想及び良心の自由)、同21条(表現の自由)、その他の基本的人権に関する規定は、「最大限に尊重されなければならない」と明記しています。 宣言が効力を有する間は、「衆議院は解散されない」とし、両議院の議員任期と選挙期日の特例を設けることができる、としています。