現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノによる国内最大規模の個展、箱根・ポーラ美術館で開催
現代のフランス美術を代表し、世界的に注目されているアーティストのひとりとして、欧米の主要美術館をはじめ世界各地で個展を開催しているフィリップ・パレーノ。近年、現代美術の企画展にも力を入れている箱根のポーラ美術館で、そのパレーノの多面的な作品を紹介する国内最大規模の個展が、6月8日(土) から12月1日(日)まで開催される。 【全ての画像】《エコー2》2022年 展示風景 ほか 1964年にアルジェリアに生まれ、パリを拠点に活躍するパレーノは、1980年代末以降、映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど多岐にわたる作品を制作し、またAIをはじめとする先進的な科学技術を採り入れながら、様々なアーティストや建築家、音楽家との協働も行ってきた。その表現は実に多様だが、とはいえパレーノの意識は一貫して、現実とフィクションの境界や、実物と人工物との間に生じる乖離やその奇妙なずれへと向けられているのだという。 そんな彼が生み出す作品には、空間を自由に漂うバルーンの魚たちや、誰もいないのに音を奏でるピアノ、打ち明け話をするように明滅するランプなど、見慣れたオブジェでありながらも不思議な設定のものが登場する。それらが、現実とは異なるノスタルジックな光景を生み出し、ダイナミズムと沈黙、ユーモアと批評性が交錯する詩的な状況を見せてくれるのだ。 自身の展覧会を「カメラのない映画」と形容するパレーノは、同展でも、ドラマチックな構成を演出し、舞台装置のような会場を生み出している。初期の代表作から最新の大型インスタレーションまでを網羅する同展は、例えば輝く雲が浮かぶ部屋から、海の底へ、漆黒の庭へ、そして宇宙へ……と、いくつもの場所と空間をめぐる旅を体験させてくれるという。まさに会場に足を運ばなければ、目にできない世界が待っていることになる。 もうひとつ楽しみなのは、世界各地でその場所の特性や建築を活かした展示を構成してきたパレーノが、今回もポーラ美術館ならではの展示を試みていること。屋外では、太陽を追跡する大型のミラー作品を、また大きなガラス窓から箱根の森の景色が望める展示室では、色とりどりの魚たちが漂う不思議な空間を、季節の移ろいや日々の光の変化とともに楽しめる。唯一無二の世界を、ぜひ会場で味わいたい。 <開催概要> 『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』 会期:2024年6月8日(土)~2024年12月1日(日) ※会期中無休 会場:ポーラ美術館