Bloomberg

（ブルームバーグ）： 英国の株式ファンドから個人投資家が５月に引き出した資金は18億ポンド（約3700億円）に上り、過去最悪の流出となった。

英株式ファンドからは８年にわたり資金流出が続いている。苦境の資本市場を活性化させたいスターマー新政権だが、直面する課題は大きそうだ。

英投資協会（ＩＡ）のデータによると、2016年以降、英株式ファンドから個人投資家が引き揚げた資金は540億ポンド。昨年１年だけで136億ポンドが流出した。

英金融行動監視機構（ＦＣＡ）は11日、以前から期待されていた英国の上場規則の大幅な見直しを発表。新規上場数が激減し、ニューヨークなどほかの株式市場に有名企業が相次いで上場したことを受け、ロンドン市場に新規株式公開（ＩＰＯ）を誘致する一環として規則が改定された。

英国の欧州連合（ＥＵ）離脱後に市場の流動性が下がり、高成長のテクノロジー銘柄も少なく、ロンドンの金融街シティーが今後も金融センターとしての地位を保てるか不安を抱える中で、新たなルールが施行される。

ＡＪベルの投資分析責任者レイス・カラフ氏は、ＦＣＡが提示した変更は「ロンドンに上場する企業数に基づいて増減する個人向けファンドの資金フローに影響を与える可能性は低い」と資料と指摘。 「個人投資家がファンドを購入する方法に根本的な構造変化があり、それが英株式からの資金流出につながった」とコメントした。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、５月までの欧州における今年のＩＰＯ規模は119億ドル（約１兆8900億円）で、そのうち英国が占める割合はわずか２％強と、数十年ぶりの低水準となった。2012－23年の平均シェアは31％だった。

また、世界的なベンチマーク指標を重視する流れの中で、個人投資家もポートフォリオの再配分を行っている。英株式は世界のインデックスに占める割合が小さく、米株式市場の規模との競争に一段と苦戦を強いられている。