【桃井かおりさん】エイジングは「アンチ」する必要なんてない。美のテーマは、“パンツが綺麗な女”
MAQUIAは今年で創刊20周年。そんなスペシャルイヤーを記念し、美の賢人たちのインタビューを連載中。今回は、俳優、監督、プロデューサー、エッセイストなど様々な顔を持つ桃井かおりさんが登場。渡米して約20年、アップデートし続ける彼女の生き方とは? 洋服のように人生を粋に“生き崩し”、唯一無二な存在であり続ける、彼女の人生美学に学びます。 【写真】桃井かおりさん
俳優、監督、プロデューサー、エッセイスト 桃井かおりさん
ももい かおり●1951年4月8日生まれ、東京都出身。1971年に映画『愛ふたたび』に出演し、映画デビュー。2005年公開のハリウッド映画『SAYURI』出演を期に、アメリカに拠点を移す。2006年には自身の短編小説を映画化した『無花果の顔』で長編映画監督デビュー。2作目『火 Hee』(2016年)は、ベルリン国際映画祭他、数々の国際映画祭に入選。監督としても12の賞を受賞。3作目の公開を控えている。
エイジングは「アンチ」する必要なんてない。でも、最適で最上な努力は必要
SK-IIのアンバサダーを務め、今年で30周年を迎えた桃井さん。そんな彼女の美のテーマは、“パンツが綺麗な女”だと言う。その心は? 「ゆっくり湯船に浸かり、メイクを落として、下着を洗う。そしてSK-IIでスキンケアをするのが私の日課。30年以上このルーティンを欠かしたことがないんだよね。一日だって下着を洗わない日はないのと同じく、スキンケアを怠ったこともない。大それたことをする必要はなくて、コツコツ積み重ねることが大事なんだよね。その努力が清潔感に繋がるの。私が目指しているのは“若い”70代じゃなくて、“小綺麗”な70代。ハタチの肌の70代なんて気持ち悪いじゃない? だから、私はエイジングを“アンチ”しないの。その人の経験や生き様が全て、顔に現れるから。その上で、最適で最上な努力は必要だとは思うけど。だって、死ぬまでにどんな努力をしたかで最後にしっぺ返しが来そうじゃない? だから、何事もやっておいて損はない。ただ一点、後悔しているのが首のケア。ここは忘れてたんだよね~。だからマキア読者の皆さんは、顔と同じように首の手入れもしてね。脱ぐ予定があるなら首までとは言わず、バストまでかしら?(笑)」 言葉の端々に、終活を意識していることを感じさせる桃井さん。一体、アメリカで桃井かおりの“最終シーズン”をどう生きるのか。 「もう73にもなるとさ、お金も結構貯まってるし、働かなくたっていいわけ。最初は、“桃井かおり”を使い尽くしたし、上手にフェードアウトしようかなぐらいの感覚で海外に来たんだよね。でも今は、私のことを誰も知らない世界で、俳優としてどのぐらい価値があるのかを試すのが、この上ない喜びなのよ。最近だとイギリスのイケてる監督が、私の出演作品を観て“あの女優は誰だ”って、一生懸命探して、わざわざオファーしにきてくれたの。それがすっごい嬉しくてさ。今撮ってる作品も、出演者のほとんどが監督経験があるから、その場でセッションのようにどんどんお芝居が変化していくの。監督からも“アドリブで何言ってもいいし、感じたままに演じて”って言われてさ。それって私の得意分野なのよ。これが今の世界の最前線の現場だと思うと、私が今までやってきたことは間違って無かったんだなって再認識できた。こうやって共鳴できる人や現場に、70代で新たに出会えることが面白いじゃない。“桃井かおり、まだまだ海外で存在する意味があるなぁ”って思えたんだよね。“まだ消える気ないのかよ”って言われそうだけど(笑)、ずっと更新し続けるのが俳優だからさ」 MAQUIA 10月号 撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/稲垣亮弐〈マロンブランド〉 スタイリスト/関口琴子〈ブリュッケ〉 取材・文/谷口絵美 構成/火箱奈央(MAQUIA) カーディガン¥55000/SSENSE(OUAT) ブラウス¥35200/AKIKO OGAWA パンツ¥53900/BRAND NEWS(leur logette) 靴/ブリュッケ ※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。