理由を知ってゾッとした…詐欺メールが「不自然な日本語」で書かれている邪悪すぎるワケ
● 詐欺メールの不自然な日本語は 境界知能の人を狙う罠なのか さらに深刻なのは犯罪に巻き込まれてしまう恐れが高いことだ。 境界知能は論理的思考や状況判断が時として適切になされない。だから詐欺やネットワークビジネスにつけ込まれやすいのだ。 詐欺メールの大半はその文面や体裁に違和感がある。特に片言の日本語で記されたメールはいかにもいかがわしい。普通の人なら怪しんで無視するだろう。しかし境界知能だとその不自然さに気づきづらい。場合によっては簡単に引っかかってしまう。詐欺師たちはあえて不自然な日本語を使い、騙しやすい人をフィルタリングしているとも言われている。 犯罪被害に遭いやすいだけではない。境界知能の人は犯罪に利用される危険もある。近年、「闇バイト」という言葉をよく耳にするようになった。 犯罪グループが求人サイトやSNSを通じて、密かに犯罪の実行役を募る。その闇バイトの高額報酬に目がくらんだ若者たちが犯罪に手を染めてしまう事態が多発し、いま深刻な社会問題になっている。闇バイトの勧誘は実に巧みになされる。境界知能の人にとって非常に危険だ。 闇バイトではその犯罪の一部を手伝わされる。ようは使い走りである。かつては違法薬物の運搬や特殊詐欺の受け子といった役割が多かった。しかしそれが次第にエスカレートし、最近では強盗の実行役にさせられるケースもある。
● 境界知能の存在を正しく理解し 適切なサポートをしよう 「ルフィ」と名乗る首謀者を中心とした犯罪グループが、闇バイトで集めた人々を使って全国各地で強盗を繰り返した事件は記憶に新しい。 ルフィらは2022年から2023年1月にかけて少なくとも5都府県で8つの強盗を指示していたとされる(注)。当初の犯行の手口は、住人を拘束して金品を強奪するようなものだった。しかしそれがだんだん過激になり、しまいには殺人にまで及んでしまった。 この連続強盗事件の実行犯が境界知能かどうかまでは明らかになっていない。しかし判断能力の低い人でなければ、一生を棒に振ってしまうような強盗団の手先など務まらないだろう。 ネットを介した闇バイトの勧誘は今後さらに巧妙になっていくはずだ。このままだと凶悪犯罪に境界知能の人々が巻き込まれかねない。 境界知能の存在は、NHKでも特集されるなど徐々に世間に知られつつある。しかし具体的な支援制度はまったく確立されていない。私たちはもっと彼らに目を向けるべきだ。 境界知能の存在を正しく理解し、適切なサポートをする。それはこの社会をより良くするための不可欠な営みだ。 (注)朝日新聞「犯罪集団が海外に拠点、闇バイトで人集め『ルフィ』事件の課題とは」(2024年1月12日)
堀江貴文