松重豊×太田光「映画は残さなきゃダメ」…『劇映画 孤独のグルメ』公開目前に語り合ったタイトル「劇映画」に込めたこだわり
『劇映画 孤独のグルメ』の公開(2025年1月10日(金)全国公開)を控えた俳優の松重豊さんが、爆笑問題の太田光さんと対談。 今回の作品では自ら監督も務める松重さんが、タイトルを「劇映画」とした意味を明かしてくれました。 【写真6枚】松重豊×太田光「映画は残さなきゃダメ」…『劇映画 孤独のグルメ』タイトルに込めたこだわり
松重&太田「残さなければいけないもの」
番組『太田光のテレビの向こうで』で対談を行った松重豊さんと太田光さんは同世代。(松重さん・昭和38年生まれ、太田さん・昭和40年生まれ) 学生時代、太田さんも演劇を志していたこともあり、話題は演劇論から映画へのこだわりへと広がり… 太田:松重さんもエッセーに書いてるけど、いわゆる昔の映画屋の時間かけてやってた映画っていうのが、フィルムもなくなっちゃったし、今もう、サブスクみたいな動画配信サービスみたいのにどんどん取られていって。でも、映画は残したいっていう。 松重:映画、残さないと。 太田:ですよね。 松重:うん。やっぱり映画館に行って、暗闇の中で、例えばポップコーンとコーラだけ持って、2時間、そこにいるっていう時間って大事じゃないですか。 太田:共通のね。みんなで感動してね。 松重:この映画だったら、みんな腹減ったなとかって、隣のやつが腹のグーって音が聞こえるぞっていうのも臨場感だし。 太田:あれね、楽しみだね。 映画館に足を運んだ人たちこそが味わえる映画の魅力に、共鳴したふたり。 松重さんは、映画に限らず「残すべきもの」があると語り… 松重:家で見るのもいいんだけど、ただ、映画っていうのは絶対残さなきゃいけないし。 音楽だってライブ見に行くっていうことは大事だし。あと、最近はCDじゃなくてレコード聴く。レコードで配信する若いミュージシャンも多いし。 自分の肌で分かる感覚のものっていうのに、どこか絶対手放しちゃいけないものがあるんですよ。
松重「タイトル『劇映画』に込めた想い」
大きくうなずく太田さんとの会話は、映画とテレビの違いにもおよび、松重さんは今回の作品のタイトルを『劇映画 孤独のグルメ』とした意味を伝えてくれました。 太田:だから俺、今回、『孤独のグルメ』劇場版見て、もうしっちゃかめっちゃかなことやってるから、映画らしくていいなって思いましたよ。 松重さんが考えてることがすごくストレートに、こんなわけねえじゃんみたいな話も含め、なんかいいな、映画っぽくてっていう。映画っぽさとまたテレビドラマと違いますもんね。 松重:うん。結局、こういうテレビドラマ発の映画化っていうと、よく『劇場版』っていうふうに冠が付くんだけど、僕、それ嫌だったから『劇映画』っていうのにしたんです。映画は映画だから。 最初は、この映画はポン・ジュノ監督に撮ってほしいと思っていた。やっぱ大胆に、誰かがああだこうだ言うんじゃなくて、この人がこの世界観で引っ張って作っていくっていう、そういうリーダーシップ取れる人がいなきゃいけないんですけど、日本ってみんなそれをいろんな所から。 太田:こう、政治的な。 松重:いろんなことでがんじがらめになって、ただちょっと豪華にしただけね、みたいなことになっちゃうから、それ絶対嫌じゃないですか。 だから、この『孤独』は、せっかく僕一人で役者やってたドラマだから、これだけはやっぱり自分でちゃんと成仏させたいなと思って。 今回の作品に賭ける松重さんの想いを感じとった太田さんですが、自らの著作も多く、「執筆」の大変さを知るだけに… 太田:すごい。それで自分で書こうっていう。それ、なかなか・・・。 松重:ポン・ジュノさんが難しかったので「じゃあ俺やるか」って言って、みんな説得させるために大体、映画のストーリーをシノプシスでわーっと一晩で書いて、みんなに配って、「こういう話にしようと思うんだけどどうかな」って言って、「じゃあやりましょう」っていう。 太田:そうですか。 松重:だって太田さんもその気になりゃ、物語って捏造するの、そんなに難しい作業じゃないでしょ。 太田:もう捏造だらけですから、僕は。 と、松重さんの「捏造」という言葉に、太田さんも笑顔で納得。 『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎の描き方をめぐるアイデアを披露しあって盛り上がるふたりでした。 番組での対談では、このほかにも、同世代の松重さんと太田さんがともに目指していた「青春の頃の演劇」、異なるジャンルでも共通するという「失われた30年」などについて時間を忘れて語り合いました。
めざましmedia編集部