五輪マラソン「東京に戻ることはない」IOCコーツ氏
2020年東京五輪・パラリンピックのマラソン、競歩の札幌開催案について、東京都の小池百合子知事と、国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長が25日午後、都庁で会談した。小池知事はあくまで東京開催を訴えたが、コーツ委員長は「もう意思決定はなされている。東京に戻ることはない」と明言。その上でマラソンと競歩の表彰式を東京で実施する案を提示した。
東京で行う気持ちに変わりはない
会談は、冒頭あいさつ以外、非公開で行われた。その冒頭あいさつで、小池知事は「都民からは、がっかりしたという声が聞こえている」「準備をしてきた東京都知事としては、東京でマラソン・競歩を行っていく気持ちに変わりはない」として、東京で開催したい旨を訴えた。 会合終了後の取材で、会談内容について聞かれた小池知事は、「今回の提案の一端について極めて具体的な話をうかがった。最終的には調整委員会で話をしましょうということになった」と淡々と説明した。 札幌開催の理由について納得したかどうか問われると、「これまで重ねてきた東京での対応策は、ついこのあいだまでIOCの皆さまからお墨付きをいただいてきたものなので、これについては自信を持っている」と、納得できなかったことを暗に示した。
IOC理事会は決定権限を持っている
一方、コーツ委員長は、30日から開かれるIOC調整委員会で、都が東京開催を主張したらどうするかとの質問に対し、「東京が主張したらどうするかという問題ではなく、もう意思決定はなされている。IOCの理事会は決定する権限を持っている主体だ」と断言。何らかの対策を行った場合も「ノー。東京に戻ることはない」と言い切った。 両競技とも札幌で開催するが、男女マラソンの表彰式は東京で開催する閉会式の場で行う考えを表明。競歩の表彰式についても、同じく他の陸上競技のプログラムと同じく東京会場で行いたいとした。
会場変更の場合「都は費用負担できない」
札幌に会場を移す場合、発生する追加費用を誰が負担するのか。小池知事は会談前の定例会見で問われた際、「移転ありきの質問であり、今の時点で確定した答えはできかねるが、一般的に、会場変更の場合、都は(移転にかかる)費用を負担できない、の一点に尽きる。都民の皆さんがどう考えるのか、ということ」として、追加費用の負担は都民の理解が得られないとの考えを示していた。 これについて、コーツ委員長は「会場変更という重大な財務的影響がある場合、組織委員会と東京都が話し合って追加コストを洗い出した上で、IOCに伝えてほしい。IOCは契約上の義務を逃れるつもりはない」として、負担する主体を明言しなかった。「大会予算には、こうした予見しない偶発的な事情が発生した場合に備える資金が含まれている」とも述べ、大会予算で追加費用をまかなえる可能性もあるとの見方も示した。 (取材・文:具志堅浩二)