熊本“半導体バブル”で異変　時給1300円でもバイト来ず、借地売却で酪農家立ち退き

　先週、台湾の半導体大手・TSMCが四半期ベースで売り上げ高、準利益ともに過去最高を更新しました。巨大工場が建てられ半導体特需に沸く熊本ですが、人気ラーメン店は町から撤退することを決めました。何が起きているのでしょうか? 【画像】客単価2、3割増、新築マンション続々　それでも・・・TSMC特需の町で閉店、立ち退き

■熊本ラーメンの人気店　特需も無念の撤退

　かつては人通りもまばらだったTSMCの最寄り駅では、激しい通勤ラッシュが!地元で42年続く、老舗の寿司店では…。 地元に住む男性 「買い物行って、外国語を聞かない日はない」 やまぎく　園田正博店主 「ちょっと（客）単価が上がった。2、3割は上がった。（TSMC周辺）からお客さんが増えた」 　TSMCのお膝元・熊本県菊陽町では、外国人の人口が去年に比べて倍近くに増加。景気も急上昇しています。 　毎週末行列ができるのは、熊本ラーメンの「天外天（てんがいてん）」です。 　豚骨に鶏ガラだしをあわせ、焦がしニンニクが香ります。店内は常に満席ですが…。 天外天　小田圭太郎店主 「11月の頭で閉店。元々本店があった場所にビルが建て替わった後ですけど、戻りましょうと」 　TSMCによる需要増加を見込み、熊本市内から菊陽町に本店を移しましたが、店を閉め町から出ていく決断をしたのです。人気があるにもかかわらず、一体なぜ?

■時給1300円でも人が来ない…人材の奪い合い

小田店主 「（従業員）人がなかなか見つからないのが一番の理由で。高い子は時給1300円くらい。そのくらい出しても、なかなか見つからないのが現状」 　1300円という高い時給を出してもアルバイトが採用できず長時間の営業ができないため、十分な利益を出すことが難しくなってしまったのです。 　町のTSMC関連のアルバイトの時給は、清掃や資材の管理などで2000円になるものもあり、町では“苛烈な人材の奪い合い”が起きています。 　町には、新築マンションが乱立。熊本市中心部並みの高い家賃でも、TSMC関連の企業から問い合わせが殺到しています。 コスギ不動産　光の森支店　田中弘仁店長 「昔ながらの田園風景が広がっている」 　バルコニーに出ると、眼下には見渡す限りの田畑が…。菊陽町は、多くの地域がマンションや商業施設を建てるのが難しい市街化調整区域で、限られたマンション用地の争奪戦が繰り広げられています。 田中店長 「菊陽町は昨年から盛り上がりを見せていますが、隣の大津町でも、新築の供給がかなり増えていて、菊陽町と変わらないくらいの家賃高騰が続いている」