隆の勝、30歳誕生日に自身初の初日から5連勝「30代、いいスタートに」 三役復帰で元貴景勝に恩返し誓う【大相撲九州場所】
◇14日 大相撲九州場所5日目(福岡国際センター) 東前頭6枚目の隆の勝(常磐山)が30歳の誕生日に欧勝馬(鳴戸)をはたき込み、自身初の初日から5連勝とした。一場所でも早く三役復帰を果たし、何度も稽古で鍛えてくれた湊川親方(元大関貴景勝)へ恩返しをしたい。大関豊昇龍(25)=立浪=と東前頭15枚目の阿武剋(24)=阿武松=も全勝を堅持。新大関の大の里(24)=二所ノ関=は4勝目を挙げた。 今場所で初めて押し切れなくても、隆の勝は慌てなかった。喉輪を軸に前に出たところを初顔合わせの欧勝馬にいなされ、背後を取られかけたが、相手の上体だけの攻めを見逃さずにはたき込み。30歳のバースデー白星で勝ちっ放しをキープ。初日から5連勝は自己最長となった。 「止まらず、動き続けたのが良かった。これからも迷わず先に先に攻めたい」。幕内での誕生日の取組は4勝3敗と白星が先行。「30代、いいスタートになった。プレゼントもケーキもうれしいけど、白星が一番」とトレードマークの笑顔全開で振り返った。 最高の誕生日プレゼントは自らの手でもぎ取ったが、もっと励みになるお祝いを見据えている。仕掛け人は同じ部屋で6年近く稽古で肌を合わせ、秋場所限りで現役を引退したばかりの湊川親方(元大関貴景勝)だ。 「関脇まで上がった力士にお下がりは渡せない」と現役時代の品を譲ってはいないようだが、期待を込めて続けた。「大きな節目が来たら、その時に」。三役復帰はもちろん、名古屋場所で優勝決定戦の末に逃した賜杯も夢物語ではないと信じている。 新米親方からのご褒美作戦に「(親方の)着物は…、サイズが合わないかな」と隆の勝。欲しい物はすぐに浮かばなくても、「一日でも早く三役に復帰して、親方に現役時代からの恩返しがしたい」とニッコリ。何より背中を押してくれる思いがうれしい。 中卒たたき上げ。人生の半分を角界で過ごしてきた。原動力は5年間に及ぶ幕下暮らしで力をつけ、関取の座をつかんだ20代と変わらない向上心。「伸びしろしかない。まだまだ上がれる」。若々しく前に攻め、連勝街道を突き進む。
中日スポーツ