ボトムアップ方式のキーポイントとは…

初芝橋本にPK戦で勝利したあと、喜びを分かち合う堀越の選手たち。表情からはお互いに信頼し合っていることが窺える。写真：福冨倖希

　仲谷が教えてくれた「リーダー」のメンバーは以下のとおりだ。 【３年】FW中村健太（右ウイング）、MF吉荒開仁（インサイドハーフ）、DF佐藤優真（左SB） 【２年】DF森章博（CB）、DF竹内利樹人（右SB） 【１年】MF三鴨奏太（インサイドハーフなど）、DF杉村充樹（右SBなど） 　各学年、各ポジションからバランスよく「リーダー」が選出されているあたりは、組織として上手くできている。また、昨年は「リーダー」で今年は役職から外れている仲谷が明かしてくれた“ボトムアップ方式のキーポイント”を聞けば、かなり緻密な良い仕組みになっている内情がよく分かった。 　 「スタメン選出、交代の采配、戦術プランなど、選手たちは基本的にリーダーに聞くようにしています。そしてリーダーは、その質問に必ず答えられるようにするのが大事です。リーダーがスタメンなどの決定理由について責任を持って答えるのはもちろん、リーダーではない選手たちから『なんでスタメンではないの？』などの疑問をちゃんとリーダーに聞くことも重要。お互いが納得いって、あとは仲間を信じるのがボトムアップです」 　風通しの良い組織なのはよく理解できたが、それにしても驚きだったのは、都予選まではスタメンだったCBの森章博が、１・２回戦ではベンチからも外れていたことだ。 　関東大会王者の修徳と対戦した都予選決勝でも勝利に貢献していただけに、個人的には小さくないサプライズ。しかも「リーダーのひとりであるにもかかわらずメンバー外になるとは...」と取材中に思わずこぼれた筆者の言葉に対し、リーダー経験者の仲谷が説明を加えてくれた。 「リーダーは自分のポジションに意見を言えないんですよ。だから章博だったら、センターバックについて『この選手が良い』とか言えないし、『俺が出たほうがいい』とかも言えないです。なぜなら私情が入ってしまうから。それはリーダーの決まりとしてあるので、リーダーだから出れるみたいなのもないです。本気で勝てるメンバー、これで戦って悔いがないメンバーで臨んでいます」