男性だけじゃない 参加者が偏らないようにする会議ガイドライン 愛媛大が策定
愛媛大はシンポジウムや会議などの主催イベントで、男性だけに参加者が偏らないようにするガイドラインを策定した。同大によると、全国の大学で初めての試みで、ガイドライン策定に携わった教員は「性別や国籍などに関係なく、平等に能力が評価される機会をつくっていきたい」としている。 男性ばかり参加しているイベントは「マネル(manel)」と呼ばれ、国際的に認められなくなっている。マネルは会議と、男性の「マン(man)」を掛け合わせた造語で、男性のみでは本質的な議論ができないという皮肉が込められているという。 ガイドライン策定のきっかけは、2023年3月に愛媛大で開かれたシンポジウム。「登壇者全員が男性」との指摘の声が内部で上がり、急ピッチで手配して女性教員にも参加してもらうことになったという。 講演会を主催したのは愛媛大SDGs推進室。当時の室長で、登壇者の一人でもあった西村勝志特命教授が、こうした経緯に危機感を抱き、学内でガイドラインの策定を持ちかけた。原案を手がけたのは、同じSDGs推進室のルプレヒト・クリストフ准教授。国連など海外の取り組みを参考に作成した。 ガイドラインは、イベントを企画・運営する上での具体策を6項目に渡って提示。例えば、イベントの企画チームについては「女性を加えた多様性や包摂性を意識した編成にすること」と定めた。 また、スピーカーの選定では「女性が入ること」と明記。ルプレヒト准教授は「いわゆる『いつものメンバー』だと頼みやすい。だけど、もう少し努力して女性の専門家も探してほしい」と対応を促す。理系の女性研究者は少ないとされているが「自分のネットワークでパッと思い浮かぶ人がいないだけというケースも多い」と大学外にも目を向けることの大切さを強調する。 完成したガイドラインは、学内でどう受け止められたのか。 女性教員の支援に取り組む同大のジェンダー協働推進センター長を務める鈴木靜教授は「これまで感じてきた違和感が解消されて画期的に感じた。海外で『マネルは日本の伝統なんでしょ』と指摘されたこともある。大学は地域には根ざすけど、発想は国際的でないといけない」と述べた。
愛媛新聞社