なぜ車輪を使わない? 落としたら一生の恥! 重さ5tの山車 を8人で担ぐ愛知県・知立市の「知立まつり」
「ユネスコ無形文化遺産」に登録されている、愛知県・知立市の「知立まつり」は、煌びやかな山車が並び、その上で山車文楽(ぶんらく)が演じられます。レポーターの寺坂頼我くん(以下、寺坂くん)が、アツい思いで祭りに臨む「OMATSURIちゃん」を探しました。 【動画】無事ゴールなるか…!? 苦難すぎてもはや悲鳴! 祭り最後の見せ場「宮入り」の様子はこちら【7分25秒~】
アクシデントがきっかけ?! 5tの山車を片方だけ持ち上げて運ぶ
寺坂くんが「知立まつり」について調べるため、知立市・山町を歩いていると、高さ約7mの煌びやかな装飾が施された豪華絢爛な山車を発見。 (祭に参加して20年・梶浦幹さん) 「重さが5tあるので」 江戸時代から祭りが行われている「知立神社」は、東海道を往来する旅人の安全を守る「マムシ除け」の神社として知られてきました。祭りでは寺坂くんが訪ねた山町と、宝町、中新町、本町、西町から、それぞれ1台ずつ、合計5台の山車が神社に向けて出発し、約4時間かけて町内を巡りながら、山車を奉納します。 午前9時、山町の山車が神社に向けて出発。この山車を神社に奉納する頻度は2年に一度ですが、新型コロナウイルスの影響で6年ぶりの奉納です。山車は、片側にだけ長い棒が付いていました。 (祭に参加して20年・梶浦幹さん) 「担ぐんですけど、後ろのみで」 「知立まつり」は、方向転換の時などに山車を片方だけ持ちあげる「担ぎ上げ」が見どころです。その理由を宮司・神山忠憲さんに伺いました。 (知立神社 宮司・神山忠憲さん) 「(山車の)車輪の軸が一本折れてしまいまして、前輪だけで神社の前の坂を下ってきた」 元々は山車を引いていたそうですが、ある時、後輪の車軸が折れたことで、山車を担ぎ上げて神社に向かったことから、「担ぎ上げ」がこの祭りの伝統が始まりました。
町から選ばれた8人の"力自慢"が務める「梶棒」
重さ5tの山車を担ぐ「梶棒」と呼ばれる男たちは、山町から選ばれた力自慢の30代8人で構成されています。メンバーを束ねる2024年の「梶棒頭」は、最年長の藤井宣壮さんが務めます。 (山町 梶棒頭・藤井宣壮さん) 「きょうは気合十分で準備万端で、整っております。年齢も37歳なので、もう最後」 梶棒には、"絶対に山車を落としてはいけない"という掟があり、もし落としてしまうと、"恥"とみなされます。8人は町中で次々と「担ぎ上げ」を披露しながら、山車を落とすことなく約3時間かけて町を練り歩き、神社まで約700mの地点に到着。しかし、さらなる難関が待ち受けていました。 「知立神社」の目前にある、緩やかな下り坂で行う「宮入り」は、山車を担ぎ上げたまま、約150mの道を、約10分かけて下る難所。町の代表として、山車を落とすことは絶対に許されません。 (山町 梶棒頭・藤井宣壮さん) 「『宮入り』は絶対に落とさないという気持ちと、他町に負けない担ぎ上げと、カッコイイ姿を皆さんに見せたい」