本をつくってみたい人も、書店をやってみたい人も。本好き必訪のブックマーケット〈本は港〉開催
コロカルニュース
神奈川県内の多様な出版社や書店が集まるブックマーケット〈本は港〉。2023年5月に始まり、大好評を博した同イベントの第3回が、2024年5月25日(土)・26日(日)の2日間にわたって開催されます。 【写真で見る】2023年5月28日に開催された第1回の様子。大盛況で一時は会場外に列をつくる事態にも。 2回を経た手応えや今後の展開などについて、主催・会場の〈LOCAL BOOK STORE kita.〉の森川正信さん、同イベントディレクターの神奈川新聞社・太田有紀さんに聞きました。 ■神奈川から本の文化を発信 東京と近いせいか独立系書店オープンの波が来るのがだいぶ遅かった神奈川にも、2018年頃から個人経営の書店が少しずつ増え、コロナ禍を機にその動きがさらに目立つようになってきました。 太田さんは、そんな書店を巡って店主の話を聞く「まちを耕す本屋さん」を2022年7月~12月まで神奈川新聞で連載。県内の書店について特色を聞くと、「いい意味でまとまりがない」といいます。 「神奈川県自体、海沿いと内陸で地域性がまったく違います。まちの中心部でも観光地でもないところで店主のキャラクターを生かした店づくりをしていたり、その場所が好きでわざわざ移住してまちを元気にするために本屋をやっていたり。自分なりの理由を持ってここで本屋をやるんだという思いが強い方が多い気がします。どの本屋さんもその土地らしさが表れているんですよね」 横浜・妙蓮寺駅近くの〈本屋・生活綴方〉に立ち上げから携わってきた出版社〈三輪舎〉の中岡祐介さんも、そんな取材先のひとり。中岡さんと、長年コワーキング・イベントスペースを運営しさまざまな場づくりや創業支援に携わってきた森川さんを太田さんがつないだことから、〈本は港〉の企画がスタートしました。 「本の流通や制作に関してはこれまで東京がトレンド発信地でしたが、出版活動は東京じゃなくてもできるし、神奈川にも個性的な書店が増えてきたのでイベントをやりたいというお話を中岡さんから伺っていました。私も新聞社で働いているので、地元の活字文化を活性化させたいという思いは常に頭にありました。それぞれの生業は違いますが、最大公約数をとればきっとまとまるだろうなと思っていました」(太田さん) ■本好きの存在を可視化 第1回は、計15の書店と出版社が出店。まずはせっかく集まった本屋さんのお話を聞きたいという声に応えるトークイベントも用意したところ、1日で約600人の来場者があり一時入場規制をかけるほどの大反響となりました。 「列を作って待っていただくことになってしまいましたが、みなさん文庫本を読んで入場を待っているのがグッとくる光景でしたね」(太田さん) 「僕も並んでいただく時に声掛けしていましたが、皆さん笑顔で待ってくださってるんです。待たされて怒るとかじゃなくて、微笑ましくその光景を楽しんでるような、そういうお客さんばかりだったんですよね。皆さんこういう場所を待ってたのかもしれないと感じました」(森川さん) その日はわざわざ店舗の方は閉じて参加する個人経営の書店が多いなか、売り切れの本も続出。2023年11月には、1日目は出版社、2日目は書店と2日間に分けて第2回を開催し、300円の事前チケット制と有料になったにもかかわらず計約700人の来場がありました。 十分な売り上げが立っただけではなく、出店者同士のコラボレーションにつながる嬉しい動きも。小田原の書店〈南十字〉では、茅ヶ崎の出版社〈カノア〉の新刊に関連するフェアを実施。本の販売も行う泊まれる出版社〈真鶴出版〉では、鎌倉の出版社〈港の人〉のフェアが開催されました。