朝ドラ『虎に翼』は“恋愛関係にならない男女”の描き方が絶妙。35歳俳優が見せた「最高の別れぎわ」
5月14日に第32話が放送されたNHK連続テレビ小説『虎に翼』(月~金曜あさ8時~ほか)。ストーリーの分岐点となる大きな別れを経験する回となった。 第31話で主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、大学の学友・花岡悟(岩田剛典)から裁判官試験に合格したことを電話で聞かされる。そして、花岡は自身の合格祝いを寅子にしてほしいとお願い。寅子は快く引き受け、他の学友を誘うことを提案するが「できれば2人でやらないか?」と誘われる。「構わないけど、花岡さんはそれで良いの?」と困惑する寅子に、花岡は「ああ、それが良い」とニッコリ。 そして第32話では法曹会館のしゃれたレストランで、2人きりのやり取りが展開される(以下、第32話までのネタバレあり)。
寅子の結婚願望をさりげなく探る言葉
まず冒頭に2人きりで食事に誘われたことを聞かされた寅子の義姉かつ親友の花江(森田望智)は「どうする? もしプロポーズされちゃったら?」とウキウキのご様子。花江のテンションの高さに乗せられ、男受けする“清楚なワンピース”をわざわざ作成して花岡との食事に臨む寅子。 レストランに先に到着していた花岡に寅子は「ごめんなさい、待ったかしら?」と謝罪するが「ううん、俺も今来たところ」とサラっという。さらには、他の男性陣が一切興味を示さなかった寅子の“清楚なワンピース”を見て、「その服、とても良く似合ってる」と褒めて100点満点のムーブを畳みかけていく。 食事中の会話では、あまりにしゃれたレストランのため寅子が「ちょっと大人になった気分」と話すと、「とっくに大人だろ。身の回りでも所帯を持ったものがほとんどじゃないか」と返す。寅子の結婚願望を度合いを探るために発したセリフに思えるが、「そうだけど、まだ半人前だし。私達の道はまだ始まったばかり」「辞めていった仲間達のためにも、私も早くたくさん経験を積んで立派な弁護士になりたい」と口にする寅子。
花岡の確かな成長を感じる切ない別れ方
これらの言葉を聞いて結婚願望が現在1%も寅子には無いことを察した花岡は「そうか」と寂しげな表情を見せ、地元の佐賀の地方裁判所に赴任することが決まったと報告した。 その後、店を出た2人は噴水広場の前でしばらく立ち止まる。花岡が急に黙り込んだことに寅子は気まずそうにしながらも、笑顔を浮かべて「じゃあ、気をつけてね」「お互い頑張りましょうね」と言って手を差し出す。花岡は「ありがとな、猪爪」と応えて寅子の手を握り返す。 その時の花岡の表情や言い方からは「もう二度と会うことはないけど」というメッセージを感じるもので、鈍感な寅子もそのことを察してか、どこか切なさを含んだ顔を浮かべた。