８月に英公演を行ったテイラー・スウィフトだが…（ロイター）

　人気歌手テイラー・スウィフトが8月に英国公演を行った際、労働党のトップ政治家らが、会場まで王族並みの護衛付きで送るよう警察に圧力をかけていた一件が、訪問中の要人に対するVIP警護を拒否せざるを得なくなった場合、外交上の争いが起こるのではないかという懸念を引き起こしているという。英紙サンが21日、報じた。 【写真】物々しい警備となったテイラー・スウィフトの英公演会場 　この件は「スウィフト・ゲイト」と呼ばれ、英国内では一向に議論が収まらないままだ。ウィーン公演（8月8日～10日）が〝テロ予告〟を受けて中止になったための特別措置だったが、外務、内務、教育大臣などを歴任したジェームズ・クレバリー氏は、前例ができたことで政府は「困難な立場」に置かれることになるだろうとの見解を示している。 　同氏は下院議会で、テイラーに警察の護衛をつけるようロンドン警視庁に圧力をかけたとされるイヴェット・クーパー内務大臣を激しく非難している。また、警護を要求した労働党議員らにコンサートチケットが無料で贈呈され、キール・スターマー首相が舞台裏で歌手と会っていたことも明らかになり、論争は雪だるま式に拡大している。 　クレバリー氏は「私が内務大臣を務めていた時期には、外国の要人から、彼らが要求または要請したが、私たちが適切だとは思わなかったレベルの保護を求める要請に何度も対処しなければならなかった。今後、こうした要請が届き、それを拒否しなければならない場合、クーパー大臣は外交上で困難な立場に立たされることになるということを認識しているのだろうか？」と糾弾した。 　さらに同氏は「外交の重要な点は、関係を壊すことなく要求に『ノー』と言えるかどうかだ。だから（マネジャー役の）テイラー・スウィフトの母親が娘のために警察に保護を求めに来た時、英国政府がこんなにも素早く屈服するとは誰も予想しなかっただろう」と断言した。 　世界の歌姫に論争が飛び火しないことを祈るばかりだ。