阪神がドジャース流のデータ分析で常勝軍団を目指す OB小宮山ブルペン捕手ら2人がアナリストに加わる
阪神が来季からデータ部門を担うアナリストを増員することが20日、分かった。現行の4人から、球団OBの小宮山慎二ブルペン捕手(38)ら2人が加わる予定。プロ経験者の視点を入れることでデータ活用の幅を広げる狙いなどがある。球団は今後もアナリストの増員、分析部門を拡大する方針。選手個々の能力とデータ活用の相乗効果で、今季のワールドシリーズを制したドジャースのごとく常勝軍団を目指す。 “分析の虎”に新たな顔が加わる。来季からデータ部門を担うアナリストを2人増員することが決定。来春入社の新卒1人に加えて、球団OBの小宮山ブルペン捕手(BC)が来年1月1日付の人事異動でスコアラー兼アナリストに転身する。 既に在籍している4人のアナリストはプロ未経験者であるだけに、球団関係者は「(現在の4人は)野球をやっていたとしても高校生ぐらいまで。プロを経験している人間の視点は生きると思うし、データ活用の幅も広がる」と期待する。小宮山BCはプロ目線、ブルペン捕手として現在の投手陣の特徴や性格も熟知。16年間の現役生活を経て引退翌年の20年から現職とあり、現場目線での選手へのデータ提供や活用が可能になりそうだ。 球界のトレンドどころか、今や当たり前となったデータ部門に阪神も近年は注力してきた。球団本部企画統括担当(戦略・分析担当)を新設し、初めてアナリストを採用したのが20年1月。以降は徐々に人員を増やし、昨年は名門・灘高出身で京大野球部の分析担当として活躍した三原大知氏も入団した。今秋キャンプでも、複数のアナリストがタブレットを手に選手たちと会話を交わす姿が散見された。実際、ある選手も「数値で見れば分かりやすいし、自分の状態の指標にもなる。うまく活用しながらシーズンを戦っていきたい」と歓迎する。 データをどこまで利用するかは選手個々の判断となるが、他球団の分析も含めて取り扱うデータは年々、増加。球団は今後もアナリストを増員する方針で、プロ経験者のアナリスト転身も珍しくなくなるかもしれない。 最先端をいくメジャーでは、ドジャースがデータ分析の活用に積極的。数多くスター選手が在籍する中、データ活用をミックスさせるチーム運営で今季のワールドシリーズを制覇した。大谷もその一人。古巣エンゼルスよりアナリストが多く在籍するド軍で、データを有効活用するプレースタイルを深め「50―50(50本塁打、50盗塁)」の偉業につなげた。 昨年、18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を達成した阪神も主力が円熟期。圧倒的実力にデータ野球を浸透させた“ドジャース流”で常勝軍団、黄金期を築いていく。 ◇小宮山 慎二(こみやま・しんじ)1985年(昭60)11月26日生まれ、神奈川県出身の38歳。横浜隼人高から03年ドラフト5巡目で阪神入り。4年目の07年に1軍デビュー、12年は自己最多72試合に出場し、リーグ1位の盗塁阻止率5割を記録。通算149試合で打率.164、1本塁打、8打点。19年限りで引退後は阪神でブルペン捕手を務める。右投げ右打ち。 ≪データ分析で快進撃を果たした競技≫ ▽MLB アスレチックスのビリー・ビーンGMは「セイバーメトリクス」を重視し、低い年俸総額ながら01、02年にシーズン100勝を達成。ドジャース・大谷の通訳を務めるウィル・アイアトン氏の本業は、データ分析担当だ。 ▽女子バレーボール 10年世界選手権ではアナリストから送られるデータを基に、真鍋政義監督がiPadを手に指示を出すIDバレーで銅メダル獲得。 ▽ラグビー ドローンで練習を空撮したり、陣形確認や個々のタックルなども撮影して分析。15年W杯南アフリカ戦や、19年W杯アイルランド戦といった格上チームの撃破につなげた。