ひとり暮らしをしている大学生です。お金が足りず困っていたら、先輩が「いい投資話があるよ!」と勧めてきました。投資は、いまは“普通”のことですよね?
4月は新しい年度の始まりです。Aさんは、入学を機にひとり暮らしを始めました。新生活が始まり、同じ学科の友人、サークル活動で知り合った先輩、アルバイトを始めたらバイト仲間と、交友関係が広がっていきます。 いい先輩といい友だち、いい交友関係の中で毎日を送っていました。しかし、サークルの合宿や友だちとの遊ぶお金など、授業以外に何かとお金がかかります。先輩に「もっとバイトを増やそうと思う」と相談したところ、いい儲け話があることを聞かされます。
儲けたいのに、先に60万円の支払いが必要?
先輩から「会わせたい人がいる」と言われ、呼び出された先で投資について説明を受けます。「国も貯蓄から投資へと後押ししている時代、投資で儲けましょう」と言われます。まず、このUSBに入っている投資学習教材で、投資の勉強をするよう勧められました。 その学習教材が入ったUSBはなんと60万円。お金が必要だけど、大学の勉強時間は削りたくないので隙間時間でできるアルバイトを考えていたのに、勉強時間が必要であること、そしてその大金を先に支払うことこらAさんは断ろうと思います。 しかし、先輩との関係性を壊したくないAさんは、結局、断り切れずにその場でウェブでの借入をさせられ、手続きまでさせられてしまいます。友だちを勧誘して契約させる5万円の報酬が入ってくると聞いても、投資を勉強する時間なんて取れないし、友だちを勧誘することもできないAさんは困ってしまい、クーリング・オフしたいと消費生活センターに相談をしました。 (出典:独立行政法人国民生活センター 2024年3月19日公表「学生に広がる投資やもうけ話に注意」)
人を紹介すると……」に要注意
せっかくできた人とのつながりを、壊したくない気持ちは分かります。しかし、本当に、Aさんのために勧めてくれたのでしょうか。 Aさんが支払ったお金は、確実に事業者の儲けになり、勧誘した先輩の儲けになります。しかし、Aさんは、その投資で本当に儲かるのでしょうか。投資に絶対に儲かるはありません。そんなに儲かる方法であれば、他人に教えずに自分でやるでしょう。 商品やサービスを購入すると、他人に販売すれば5万円を得られると勧誘し、代金を支払わせるものを連鎖販売取引といい、特定商取引の規制対象となります。「人を紹介すると……」「誰かを紹介すると……」に要注意です。 クーリング・オフは、法定書面を受け取った日から20日間です。書面がない場合、または、書面があっても不備がある場合、正しい書面が発行されてから20日のカウントが始まります。