衰弱したヤマネコ保護 52日間の治療で野生復帰
環境省西表自然保護官事務所は、衰弱したイリオモテヤマネコを9月に保護し、治療して11月9日に野生復帰させたと発表した。今後、集落に現れる可能性もあり、地域住民らには、見かけた場合の情報提供を求めている。 自然保護管事務所によると、イリオモテヤマネコを保護したのは9月19日。西表島東部の美原集落内で木陰にうずくまっているところを発見された。西表野生生物保護センター職員が保護して成獣のメスと判明した。衰弱が著しく、幼獣に見えるほど痩せて体重は1・95キロで、重度の栄誉失調状態だった。左側口唇横に化膿瘡、左後脚の指に骨の露出、左眼角膜炎、右眼角結膜炎が確認された。このほかにも額、右耳、下顎、などに古い傷があった。衰弱やけがの原因は不明という。 獣医師らによる治療を受け、センターで52日間の保護飼育を経て回復。体重は3・55キロになり、美原地区の森林内で放獣した。自然保護管事務所によると、人慣れを防ぐために、野生復帰を優先させてGPSは装着しなかった。この個体は右耳に深い切れ込みがあり、左目だけ視力があるという。 自然保護官事務所では、この個体が今後道路や集落に出現する可能性があり、弱っているヤマネコは人が飼育している捕まえやすい動物を狙う可能性があることから、家禽などの飼育小屋に穴やすき間がないか確認し、適宜補修するよう求めている。