65歳以上無職夫婦の生活費はいくら?不足資金の備え方を考える
平均寿命が徐々に伸びる現代において、老後の生活設計はとても重要です。 2023年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は約81年、女性は約87年となっており、65歳以降の現役引退後も平均として16年から22年ほど生活について考える必要があることがわかります。 ◆【グラフ】65歳以上無職夫婦の1ヵ月の生活費はいくら?図表でチェック 今は現役で働いている人も、仕事を退職した後の生活費について考えることもあるのではないでしょうか。平均的な生活費の収支バランスを理解しておくことは、自身の老後のライフスタイルを決定する1つの指針にもなります。 今回は、65歳以上無職夫婦の主に夫婦に焦点を当て、生活費の実態や収支バランスについて解説します。ぜひ参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
老後生活の支出
家計調査年報(家計収支編)2023年結果の概要より、65歳以上の無職世帯の収支の項目を確認していきます。 統計結果による収支としては、下記の通りとなっています。 ・収入の平均合計:24万4580円 ・支出の平均合計:25万959円(税金・社会保険料などの自由にならない非消費支出を除いた消費支出の合計) 次に、収支項目について主なものをいくつか確認していきます。 ●食料費 65歳以上の世帯で、最も大きな割合を占めているのが食料費です。平均割合では29.1%を占めており、平均7万3000円程度を使用していることになります。 食費は、個別の食生活や健康状態に大きく依存しますが、食事は生活の基本であるため、他の支出に対して高齢となっても金額が抑えられない場合が多くあります。 ●交通・通信費 次に大きな割合を占めるのが、交通・通信費です。 平均割合では12.2%を占めており、平均3万円程度を使用していることになります。 特に交通費は、高齢となると徒歩による移動が難しくなることも多いため、公共交通機関やタクシーなどの利用が多くなると考えられます。 ●趣味・娯楽費 食料費の次に大きな割合を占めるのが教養娯楽費です。 平均割合では9.8%を占めており、平均2万5000円程度を使用していることになります。 教養娯楽費は、趣味や旅行など、充実した日々を送るための支出を指します。 かなり世帯差が出るところであり、例えば生活が苦しい世帯においては、真っ先に切り詰める対象となる支出ではないかと考えられます。 ●水道光熱費 次に大きい割合となるのが、水道光熱費です。 平均割合ではおよそ8.9%を占めており、平均2万2000円程度を使用していることになります。 一般的な生活をするために必要となる支出であり、特に定年退職をしたあとの夫婦であれば、家にいる時間も長くなるため、外で働く年代よりも支出が膨らむと考えられます。 ●住居費 生活費の中で大きく占める費用を考えがちな住居費ですが、65歳以上世帯の支出の中で占める割合としては、6.7%と低い分類に入っています。 その理由として、現在の65歳以上世帯においては、持ち家で暮らしている人口が多いためであると考えられます。高齢社会白書による調査結果によると、2023年時点で持ち家に居住する65歳以上の割合は8割以上となっています。 多くの人が持ち家で、住宅ローンも完済しているなどの理由から、65歳以上世帯の住居費の割合が抑えられていると考えられます。 ●医療費 さらに、高齢になるに伴い増加するイメージのある支出として、医療費が挙げられます。 統計によると、2021年時点において保険診療の自己負担額は65歳から69歳の層で最大値となっており、その後も現役世代よりは高い数値で推移しています。 平均支出の割合としては6.7%と、そこまで高い割合ではありません。 ただし、他の支出は節制をすることができても、医療費を抑えることは生命にも関わるので難しい場合が多いため、体調に不安を抱えやすい高齢者層では、医療費の負担が大きくなると考えられます。