60歳女性が160キロの海峡を泳いで渡る挑戦。歳を重ねることをポジティブに捉えられる【映画レビュー】
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歳を重ねることをポジティブに捉えられる──『ナイアド ~その決意は海を越える~』
マラソンスイミングの選手を引退して30年。60歳になったダイアナ・ナイアドは、母の遺品から見つけた本に感化され、20代の頃に叶えられなかった夢に再び挑戦したいという思いが膨らむ。それは、キューバからフロリダまで約160キロの海峡を泳いで渡るという挑戦だった。親友であるボニーにコーチを頼み、人生をかけた夢に向かっていく。本作ではナイアドをアネット・ベニング、ボニーをジョディ・フォスターが演じる。
ダイアナ・ナイアドは実在の人物で、本作は実話をもとにしたノンフィクションだ。最初の挑戦は1979年、28歳の時だった。体力的には28歳の時の方が確実に有利にも関わらず、それでも夢に挑もうとするナイアドには、若い時よりも強い心があった。そして今回は親友のボニーも一緒だった。彼女たちの周りに集まった精鋭チームと、そのチームを信じられるようになっていくナイアド。若い頃や今回の挑戦を始めた時点では自分の能力を過信するあまり、人の意見を素直に聞けず、自分の主張ばかりしていたが、いつの間にか自分の弱さをさらけ出すことができるようになっていく。チームメイトの信頼を得たナイアドは、60歳を過ぎているにも関わらず、最初の挑戦の時よりも強くなっていくのだ。 また数々の名画に出演してきたアネット・ベニングとジョディ・フォスターという名優が、メイクもほぼせず、髪もボサボサでシワをさらけ出し、ありのままの姿でスクリーンに登場していることにも勇気づけられる。加齢により変わっていく自分を受け入れ、認めてあげることで放たれる清々しい美しさがそこにはあり、歳を重ねることへの恐怖を払拭してくれる。40代や50代になると人生の行き先をなんとなく決めつけてしまいがちだが、何歳になっても変わることはできるし、人生を心から楽しむことができると教えてくれる。 【写真】ボニー(ジョディ・フォスター/左)とナイアド(アネット・ベニング/右)。
ナイアドの自伝『対岸へ。オーシャンスイム史上最大の挑戦』を元に、ジュリア・コックスが脚本を務めている。監督は、スポーツドキュメンタリー作品を多く手掛け、『フリーソロ』でアカデミー賞®長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しているエリザベス・チャイ・ヴァサルとジミー・チンが務めた。 『ナイアド ~その決意は海を越える~』 NETFLIXで配信中 ※作品の公開/配信状況は2023年11月25日現在のものです。 BY KANA ENDO