「甘いもので体の疲れはとれない」少し残念な真実 体に負担をかけるNG飲食「休養学」博士が解説
■お酒も「疲れのもと」になりかねない お酒が好きな方は、お酒と疲労回復の関係に興味があるのではないでしょうか。昔から「酒は百薬の長」といわれますし、飲むと血のめぐりもよくなります。 しかしお酒は精神的なリラックス効果が期待できるものの、肉体的には負担のほうが大きいようです。私もお酒が嫌いではないので、非常に残念なのですが……。 なぜお酒は体によくないのでしょうか。 これは、飲酒すると、アルコールを分解するために肝臓が大忙しで働かなければいけないためです。ですから「疲れをとるために」といって飲んでも、さらに疲れてしまうだけです。肝臓がアルコールを分解する過程で、アセトアルデヒドという活性酸素のような毒性物質が出ることによって、肝臓を傷つけるという説もあります。
■寝つきはよくなるが疲れはとれない さらにいうと、アルコールを飲むと寝つきはよくなりますが、夜中に目が覚めやすくなるので、睡眠によるリカバリーが十分にできなくなります。 「お酒を飲むと深く眠れる」という人もいますが、アルコールを飲んで寝ている状態は、麻酔で気を失った状態と似ています。 通常の睡眠であれば、ノンレム睡眠のN1→N2→N3(註:ノンレム睡眠中の眠りの深さのレベル。いちばん浅い眠りをN1、真ん中をN2、いちばん深い3段階目の眠りをN3とする)というようにステップを踏んで浅い睡眠から深い睡眠へと移行します。
しかしお酒を飲んで寝ると、そのステップが踏めないので、本来寝ている間にしなければいけない回復過程が省略されてしまいます。こうしたことからも、お酒を飲んで寝るのはおすすめできません。
片野 秀樹 :博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事