山田杏奈、声優初挑戦 声の抑揚を意識することの重要性を再認識:インタビュー
俳優の山田杏奈が、映画『怪盗グルーのミニオン超変身』(公開中)吹替版に声優として出演。本作から新登場の大悪党に憧れグルーに急接近する少女・ポピーを担当する。本作は、幸せな日々を送るグルーたちのもとに新たな家族、グルーJr.が誕生。一方その頃、家族をねらうグルーの因縁の超宿敵マキシムから、グルーとその家族は身分を隠し新たな町で超奮闘。そして、最強最悪のボスに仕えることが生きがいのミニオンたちは超特訓。グルーとミニオンの物語が史上最大の超“新化”を遂げていく。インタビューでは、本作で声優初挑戦の山田に、アフレコ現場の模様から、体験して得たもの、これから声優としてやってみたい役など、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】 【写真】山田杏奈、撮り下ろしカット ■孤独を感じていたアフレコ ――今回初の声優ということで、アフレコをやってみた手応えはどのように感じていますか? まだ正直手応えはないです。それは気持ち的にすごく難しかった、というのが大きかったからです。ただ、作品としてはしっかり演出もつけていただいたので、出来としてはきっと素晴らしいものになっていると思います。また、最近自分が出たドラマや映画を観るのがやっと慣れてきたところなのですが、その感覚がリセットされて、いまは吹替版を見るのがちょっと怖いような気持ちになっています。 ――俳優を始めた頃の感覚に戻られて。どんなところが大変、難しいと思いましたか。 声だけで表現をするところです。普段お芝居をしている時は表情とか動きに頼っています。映像作品なのでそういうところを使って表現をしていくことになるのですが、吹替となると声の抑揚などいつも以上に意識しなければならないなと思いました。また、アニメならではの表現というのもあり、普段のお芝居とは全く違ったので、表現全てが難しかったです。 ――今回お一人でアフレコを? はい。ブースの中で一人で録音しました。他のキャストの皆さんもお一人だったみたいです。初めてのことだったので、とても孤独を感じていました。スタッフさんや関係者の方がいる部屋が、録音ブースから窓越しに見えるんです。皆さんが私に背中を向けて、何か喋っているところが見えたのですが、何を言っているのかこちらには聞こえないので、実は気になっていました。もう、「今の大丈夫でしたか」とか聞きたくなっちゃいました(笑)。 ――確かにそれは気になりますよね(笑)。 ブースにはカメラがついていて、皆さんからは私のことは見えているので、それは動物園の動物みたいな気持ちになっていました。それがちょっと新鮮でもあり、照れくさくもあり、普段とは違う空間ということもあって、すごく孤独だなと思いました。 ――監督からはどんなアドバイスやリクエストをもらいましたか。 監督は『ミニオンズ』シリーズに初期の頃から携わっていらっしゃるので、『怪盗グルー』シリーズだとこういうやり方でやった方がうまくはまりやすいかも、みたいなことをご教示いただきました。最初私はとても緊張していて、「何もわからない」状態だったのですが、初歩の初歩から教えていただいたので、とても監督のことを頼っていました。その中で嬉しかった言葉があって、「初めてとは思えないよ」と褒めてくださり、その言葉がすごく嬉しかったです。 ――山田さんは、ご自身の声を客観的に聞いて思うことはありますか。 自分の頭の中から聞こえている声と録音をして聞いた声の印象は、皆さんも全然違うと感じると思うのですが、私もこの仕事を始めたばかりの頃はそのギャップに慣れなかったんです。その時は「自分の頭の中で鳴っている声の方がいい声なのに」と思っていたのですが、今は録音した自分の声は聞き慣れました。また、私の声が好きだと言ってくださる方もいらっしゃるので、そういうのを聞くとすごく嬉しいです。 ■心情を声でうまく表現できたら ――山田さん演じるポピーとご自身が重なる部分もあったと、5月に行われた『怪盗グルーのミニオン超変身』“超吹替”新キャスト&“超宣伝”アンバサダー就任お披露目イベント時にお話ししていたのが印象的でした。なんでも学生時代は性格が尖っていたとのことなのですが、どのような感じだったのでしょうか。 とにかく反抗的な子どもでした。それを表に出すことはあまりしないのですが、高校生の頃から社会の不条理とかについて、「なんでこうなんだ!」って思うことが多かったです。いま振り返ると親はきっと大変だっただろうなと思います(笑)。また、周りの人からも「昔は尖ってたよ」と言われることが度々あったので、きっと「なんでなんだ」という気持ちが、みんなからは尖っていたと思われていたんだと思います。 ―― 20歳を過ぎてそういった感情は落ち着いてきました? 今は焦ったところで、あまり良い方に向かないという考えになってきています。でも、ある程度反骨精神みたいな気持ちを持っていることは、生きていく上ですごく大事なことだなと思っています。 ―― 山田さんが10代の頃に持っていた気持ちから、ポピーの言動や行動が理解できて。 すごく愛おしいなと思いました。ポピーの目標は大悪党になることで、変わった女の子だなと思いましたが、ポピーのお父さんとお母さんの雰囲気を見ていると、家の中にいるのが、今とてもしんどい時期なんだろうなと思いました。そういった背景がいろいろ垣間見えてきたので、ポピーの心情を声でうまく表現できたらいいなと思いました。 ――いろいろなパターンを練習して、当日アフレコに臨んだと、イベントの時に話していましたね。 何が良かったと言われるか予想がつかなかったので、自分なりにしっかり準備はしておこうと思い練習していました。 ――今後、声優としてやってみたい役はありますか。 自分自身とは全く違うキャラクターをやってみたいです。女性の声優さんで少年役とかやっていらっしゃる方は多いと思うのですが、例えば、私がドラマや映画のお芝居で少年役というのは難しいと思うんです。なので、もし声優で挑戦させていただけるなら、生身の自分では絶対できない役にもご縁があったら挑戦してみたいです。 ――最後に、今回のアフレコ体験が今後お芝居のどんなところに役立ちそうだと感じていますか。 お芝居をしていても、声の抑揚を意識してうまく伝えることはとても大事なんだと再認識しました。また、声優さんと全く同じ手法を使えるわけではないとは思うのですが、今回の経験で得たものが選択肢の一つになって、きっとお芝居にも役立つと思うので、いろんなところで相乗効果を生み出せていったらいいなと思います。 (おわり)