鹿児島県警元幹部の「内部告発」受け取った北海道の記者 幹部の逮捕に「公益通報を考えている人が畏縮してしまう」
鹿児島放送
鹿児島県警の前の生活安全部長が捜査情報漏えいの疑いで逮捕された事件で、「内部告発」の文書を受け取った北海道の月刊誌の記者がANNの取材に応じました。 小笠原淳さん 「あの事件で本当に本田さんが悪者にされてしまったら、各地の公務員に限らず、一般企業でもそうですけど、公益通報を考えている人は畏縮してしまって、モノが言えなくなりますよね」 取材に応じたのは、小笠原淳さんです。 北海道の月刊誌「北方ジャーナル」などを中心に警察の不祥事に関する記事を多数執筆し、本も出版しています。 「公益通報者を逮捕してしまったり、元になったいわゆる報道機関に強制捜査をかけるであるとか、その罪深さというか、そんなことは絶対やっちゃいけないですよね。」 警察情報を外部に漏らしたとして、逮捕・送検された県警の前の生活安全部長、本田尚志容疑者(60)。 「県警職員の犯罪行為を野川明輝本部長が隠ぺいしようとした」「いち警察官として許せなかった」と捜査資料を郵送したことを認めています。 野川本部長は隠ぺいの事実を否定しています。 本田容疑者からの封書が小笠原さんのもとに届いたのは4月3日だったといいます。 小笠原淳さん 「開けると、一枚目に『闇をあばいてください。』という文言があってこれはちょっと北海道では対応が難しいという判断をして、文書の内容をPDF化して福岡のニュースサイト『HUNTER』にメールで送って。その5日後にニュースサイト『HUNTER』の編集部に鹿児島県警が家宅捜索をして」 鹿児島県警から小笠原さんに連絡がきたのは、それからおよそ2ヵ月後。 本田容疑者が逮捕されたあとでした。 (警察)「元部長の事件の重要証拠が小笠原さんに送られてきたので『返還』願いたい」 『返還』という言葉に疑問を感じ聞き返すとー (警察)「証拠品として押収させていただきたい」 (小笠原さん)「令状が出ているんですか」 (警察)「違います」 (小笠原さん)「任意ですか」 (警察)「任意です」 小笠原淳さん 「私がたぶん聞き返さなかったら、任意とは言わなかったんじゃないかと思います。要するに出さなきゃいけない気分にさせようとしてたんじゃないかなと」 ほかにも他の警察本部と比べて違和感があるといいます。 小笠原さんが情報公開請求で警察の不祥事の概要やこれらの不祥事を事件化したかを確認したところ、北海道警や福岡県警は両方の資料を公開したにもかかわらず、鹿児島県警の回答は… 小笠原淳さん 「存否応答拒否といって文書があるかどうかも答えないという結論を出してきたんですよ。これは非常におかしい。 (ある意味では、開示のレベルで言ったら北海道警よりもさらに…) 「ああもう全然話にならないですね」 一方で本田容疑者は資料に自分の名を記載せず、元同僚で退職した刑事部長の名前や連絡先を記していたといいます。 これに対し前の刑事部長は県警を通じて「枕崎署の盗撮事案は全く知りませんでした。盗撮事件の捜査・指揮に携わったことはなく、野川本部長からも本事件に関して指示を受けたことはありません」とコメントしています。