前触れなく襲い来る“静かな恐怖”… いまだ正体の見えない何かが人類を襲う「ザ・スウォーム」第2話
木村拓哉ら世界各国の豪華出演者が集結したHuluオリジナル「THE SWARM/ザ・スウォーム」。“宇宙よりも謎が深い”と言われる深海を舞台に、世界の海で起きている不可解な現象を追うSFサスペンスだ。第2話では「ロブスター」が原因で、料理人らに悲劇が起こるようすが描かれた。本記事では、考察を踏まえながら同話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】黒い吐しゃ物を吐く謎の患者、影響範囲は… ■「ロブスター」と「黒い嘔吐」の関係 フランスのサン・ジャン・ド・リュズは、観光地としても知られている。冒頭で映し出されたのは、そんな人気リゾート地の海底に潜んでいたロブスターたちだった。そして場面は変わり、高級店「ル・サンケ」の料理長が市場へ。料理に使う食材を、自身の目で見て購入するためのようだ。 料理長が購入したのは、冒頭で意味深に映し出されたロブスター。店に戻った料理長は従業員に指示をしながら、自分は先ほど市場で購入したロブスターの下準備を始めることに。いつもとなんら変わらない、仕込みの光景のハズだった。 手際よく下処理を進める料理長だったが、一尾のロブスターを前に手が止まってしまう。その日の朝に獲れたはずのエビから謎の白い液体が出ており、まな板を汚していたからだ。料理長は見たことのない液体を不審がってロブスターを裏返し、じっと観察。すると次の瞬間、ロブスターの腹から謎の液体が噴き出す。 液体をもろに顔で浴びた料理長は驚き、声を上げた後、怒りに任せて副料理長のジルベルトに「こいつ(ロブスター)を処分して掃除をしろ」と命令。ジルベルトは素直に従い、ロブスターを見習いのアライナに任せ、自分は調理台を掃除する。そのロブスターはアライナによってディスポーザーで処分された。 しかしその後、思わぬ事態に発展する。ジルベルトが「大学病院医療センター」に運ばれたのだ。病院に来たときジルベルトは黒い嘔吐物まみれで、高熱と下痢の症状も出ていたという。そして料理長も同じく黒い吐しゃ物が服に付着した状態で路地裏にて発見されたが、残念ながら帰らぬ人となったという報告が。 中盤にはジルベルトも治療の甲斐なく亡くなってしまい、ついにはロブスターの処分を担当しただけのアライナが自室で死亡していたことも判明する。彼女の口からも、同じく黒い吐しゃ物が。ロブスターから出ていた液体が原因なのか、そして当日も営業していたレストランには客もいた。影響範囲は未知数だ。 ■立ち上がるレオンと、再びの悲劇 クジラの暴走とシャチの襲撃により、大切な人を失ったレオン・アナワク(ジョシュア・オジック)は、海辺で天体物理学者のサマンサ・クロウ(シャロン・ダンカン=ブルースター)と出会う。自分の恋人について、「彼女、休暇中は1日6食も食べるの」と幸せそうに話すも、レオンの表情は硬いままだった。 そんなレオンの顔を見て、サマンサは話題を変える。「あなたクジラの講義をしている人?」と問い、ホテルでレオンが講義をすることを知らせるポスターを見たと告げる。その言葉を聞き、レオンは事故で中止になったことを明かす。 彼の言う“事故”とは何かを察し、ひどい事故だったと悲しい表情を浮かべるサマンサ。しかし彼女はレオンに話しかけるのをやめなかった。サマンサもレオンも、種類は違えど形の見えない謎を追い求めるという点は一緒だったからだ。サマンサの話を聞き、小さな希望を持ったレオン。大事な人を連れて行ってしまった海と向き合うことを決めたように見えた。 後半、彼はバリア・クイーン号という船を襲った不可解な事件について話を聞くことに。船長によると、航海中に突然船の舵が利かなくなり、救助船を呼んだという。救助船がやってきて間もなく、水中に影が見えて深く沈んでいった。そしてその直後、ザトウクジラが飛び出して救助船を潰したのだ。前回レオンが目の当たりにした事故と同じ状況、そしてクジラが攻撃的になる“子が近くにいる状況”“交尾中”という条件には当てはまらないシチュエーション…。クジラによる船舶攻撃は、偶然ではない。 そして第2話のラストでは、前回シャーロット・“チャーリー”・ワグナー(レオニー・ベネシュ)と協力していたチームの2人に悲劇が。ジュノー号という船で海洋調査を続けていた2人だったが、突然周囲の海域に異常が起こる。ソナーパルスが海中から発せられる「チリチリ」という音を捉えると、それはやがて船内の備品まで揺らす大きな振動に。そして海面には船を囲むように多数の気泡が湧き、やがて船は船員の悲鳴を残して静かに水底へ沈んでいく。クジラからの攻撃でもない、メタンガスの爆発でもない、なにか得体の知れない力が船を引きずり込んだのだ。 ■静かだから恐ろしい、迫力ある映像づくり ハイライトとなるラストの事件は、“恐怖”の構成が強く印象に残った。たとえばゴジラのような巨大生物が直接攻撃してくる恐怖は、わかりやすいインパクトとして響く。だがその恐怖は、ある種“アトラクション”のように単純なものだ。根強い人気を誇るサメ映画など、明確に見える強敵があおる恐怖はわかりやすい分さっぱりとした味わいになる。 一方で本作の描く脅威は、目に見えず、静かに忍び寄る。“なにかが起きている。だがなにが脅威なのかわからない”という恐怖は、いわばジャパニーズホラーに近いじっとりと心の底に訴えかける恐怖感が強い。 クジラなどの海洋生物が取る異常行動の意味、突如ロブスターがもたらした強力な感染症といった物語の主軸は丁寧に描くが、海が船を飲み込む異常なラストは本当になんの説明もないまま。広い海の真ん中で前触れなく湧いた気泡、本来あるはずの浮力を失って静かに沈んでいく船の姿は、船員の戸惑いと恐怖、絶望を視聴者へ届けるにあまりある。 正体の見えない恐怖を、これでもかと視覚的に訴えかけてくる「THE SWARM/ザ・ スウォーム」。果たして船を襲った現象の謎は解明されるのだろうか。そして敵はいったい何者なのだろうか。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部
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