軽井沢町で日本版ライドシェア導入へ 繁忙期のタクシー不足補う狙い
北佐久郡軽井沢町内で今春、一般ドライバーが自家用車で乗客を有償送迎する「日本版」ライドシェアが始まる見通しになったことが30日、分かった。繁忙期のタクシー不足を補う狙いで、地域や時間帯を限定した条件付きのライドシェアが解禁される4月の運行開始を目指す。県タクシー協会によると、県内で「日本版」ライドシェアの導入が具体化したのは初めて。 【図解】ライドシェアのイメージ
町内のタクシー会社5社(計135台)でつくる軽井沢タクシー協会によると、ライドシェアの運行は、町内全域で繁忙期を中心に想定。時間帯は週末の夕方から深夜などが見込まれるとする。アプリ会社が提供する配車アプリを使用。配車はアプリ経由とし、流し営業はしない。運賃は通常のタクシーと同水準だが、アプリ代として料金が別途かかる可能性がある。
ドライバーは町内の各タクシー会社と雇用契約を結び、タクシー運転手と同様に出社時の健康チェックや社員教育を受ける。募集はタクシー会社ごとに実施するが、雇用人数は未定。事故やトラブルに対応するため、運行車両にドライブレコーダーを設置することも検討している。
導入に先立ち、軽井沢タクシー協会や町の他、軽井沢ホテル旅館組合といった町内商工観光団体で協議体をつくり、システム導入やドライバー募集で連携する考えだ。ライドシェアの詳細なルールは国土交通省が検討中。軽井沢町での運行形態も、同省が決めたルールに沿った形になるとしている。
政府は昨年12月、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限り、タクシー会社の管理下で「第2種運転免許」を持たない運転手による有償送迎の解禁を決めた。これを受け、東京ハイヤー・タクシー協会が4月の運行開始を目指すなど導入の動きがある。
町によると、昨年7、8月の町内への入り込み客数は298万6千人。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期比で83・59%の水準まで回復している。
軽井沢タクシー協会長で松葉タクシー社長の松葉和彦さん(56)は「タクシー業界は新型コロナで乗務員が減り、需要回復に対応しきれていない。ライドシェア導入などで2次交通の拡充に努めたい」とする。ライドシェアに加え、繁忙期は県タクシー協会佐久支部から町内へ乗務員や車両を派遣してもらうことも視野に入れているという。