紫式部が琵琶湖に映った美しい月を眺めながら起筆したという「源氏物語」が生まれた地へ
石山寺(滋賀県大津市)
京から半日余りで足を運べる大津の石山寺は、平安時代の貴族や宮中の女性の信仰が厚かった。女房(※1)文学と呼ばれる女流文学の作者たちも、石山寺を参詣したという。 石山寺の成り立ちを記した『石山寺縁起』には、紫式部も『源氏物語』の執筆にあたり、この寺に7日間の参籠(さんろう)を行ったと記されている。紫式部はここで琵琶湖に映った美しい十五夜の名月を眺め、物語の構想を練ったという。 石山寺の本堂の一角には、「源氏の間」と呼ばれる部屋があり、紫式部の人形(※2)が迎えてくれる。紫式部はここで『源氏物語』の執筆を始めたとされ、長大な物語の執筆に取り組む決意を感じ取れる。境内では、ほかに紫式部像や紫式部供養塔も目にすることができる。 ※1 女房=宮中や貴族に仕えた女官。 ※2 人形は修理中。2024年3月18日から一般公開予定。 石山寺 8時~16時/入山料600円、本堂内陣500円/無休/京阪石山坂本線石山寺駅から徒歩10分/電話077・537・1105(石山観光協会) ※「旅行読売」2024年2月号の特集「紫式部ゆかりの地へ」より