中華航空機墜落事故から20年 どんな事故だったのか?
人間優先か、機械優先か
事故は、副操縦士がゴー・レバーを誤って作動させたことに端を発しています。しかし、そもそも自動と手動の2つの系統が同時に作用していることを知らせる警報装置が装備されていなかったこと、同型機で過去に同様の事故が発生していたにも関わらず、オートパイロットの改修情報が十分に注意喚起されていなかったこと、コンピューターの命令が常に優先される設計になっていたことなど、運輸省航空事故調査委員会はこの事故を「さまざまな要因が複合的に絡んだ結果」と結論付けました。 ゴー・アラウンドモードは事故後、ワンタッチで解除できるよう勧告・改修されました。しかし、1998年には台北中正国際空港(現:台湾桃園国際空港、チャイナエアライン676便、エアバスA300-600R)で同様の事故が発生。当時の教訓が生かされていないという批判もありました。 テクノロジーの進化によって、システムの理解不足や誤信号によるエラーなど、ハイテク機特有の事故も増加傾向になるようです。中華航空墜落事故は「コンピューター=安全」という過度なハイテク機信仰に大きな波紋を投げかけたともいえます。 (南澤悠佳/ノオト)