“ほぼ最後”の県立美術館〈鳥取県立美術館〉が完成! 2025年3月の開館を目指して準備中です。
〈鳥取県立美術館〉が槇文彦率いる槇総合計画事務所の設計で完成しました。来年の開館を前に、建築のみどころを紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 1951年に〈神奈川県立近代美術館〉が開館して以来、各県に作られてきた県立の美術館。全国43県のうち2024年時点でそれがないのは鳥取県と鹿児島県の2県だった。そのうちのひとつ、〈鳥取県立美術館〉がいよいよ2025年3月に開館することに。手狭になった〈鳥取県立博物館〉の美術部門が独立する形だ。先ごろ完成した建物は槇文彦率いる槇総合計画事務所の設計だ。 場所は鳥取県のほぼ中央、JR倉吉駅が最寄りだ。市立図書館や複合文化施敷設・倉吉未来中心などが集まる倉吉パークスクエアの一角になる。敷地はもともと市営ラグビー場だった。隣には7世紀ごろの寺院の跡地である「大御堂廃寺跡地」があり、広々とした空間に向かって美術館が開かれる構成になる。 エントランスを入ると大きな吹き抜けに目を奪われる。開館後は2・3階の展示室に行く前に、まずここでアートが出迎える予定だ。
さらに進むと「ひろま」と呼ばれる大空間が。自然と上のほうに視線が誘われる。大きなガラス窓の外側にあるテラス「えんがわ」を介して「大御堂廃寺跡」に続いている。
1階は基本的に誰でも無料で入ることができる。大きなガラスは大御堂廃寺跡を包み込むように円弧を描いており、どこにいても視線がそちらに向かう仕掛けだ。
2階には5つのコレクションギャラリーがある。ふたつのギャラリーの間にある壁をとり払って一つの大空間として使えるもの、天井高が7メートルもある開放的な展示室、国宝や重要文化財なども展示できるケースを備えた部屋など、展示するものをより引き立てる個性的な設えの展示室が揃う。
3階の企画展示室は面積約1000平方メートルの大空間だ。天井に設えられたグリッドに沿って自由に区切ることができる。壁面の展示ケースは国宝や重要文化財の展示にも対応できる。