村上春樹 マット・デニス特集で「これは文句なしの代表曲」と唸る楽曲とは?
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。5月26日(日)の放送は「村上RADIO~マット・デニス・ソングブック~」をオンエア。「ソングブック」シリーズ第4弾は、作曲家にしてピアニスト、アレンジャー、そして歌手としても活躍したマット・デニス特集。この記事では、中盤3曲について語ったパートを紹介します。
◆Ella Fitzgerald「Angel Eyes」
マット・デニスは戦後しばらく、忘れられた存在みたいになっていたんですが、この「Angel Eyes(エンジェル・アイズ)」という曲が1953年にヒットして、ソングライターとして再評価されるようになりました。「エンジェル・アイズ」、ほんとに素晴らしい曲です。歌うのがけっこう難しい曲なんだけど、これはマット・デニスの文句なしの代表曲になっています。 語り手は、天使のような目をした素敵な女性に去られてしまいます。愛を失い、捨て鉢(すてばち)な気持ちになって、バーにいる人たち全員に「僕がお酒をみんなに奢(おご)るよ。なんでも好きなものを注文してくれ。そして思い切り楽しんでくれ」と言います。そして言います。「でも僕はちょっと失礼するよ。これから町に出て、今誰がいちばん輝いているかを探してくるから」と。天使のような瞳がどうしても忘れられないんですね。 エラ・フィッツジェラルドがバーニー・ケッセルのギター1本をバックに歌い上げます。1957年の録音です。 エラ・フィッツジェラルド、素晴らしいですね。
◆Four Freshmen「Love Turns Winter To Spring」
次はフォア・フレッシュメンが歌います、「Love Turns Winter To Spring(愛があれば、冬も春に変わってしまう)」。これは1954年の録音です。 とても美しいバラードだと思うんだけど、この曲を取り上げている歌手は意外に少なくて、僕が知る限り、フォア・フレッシュメンのバージョンの他に、有名歌手でこの曲を歌っているのはジューン・クリスティくらいですね。不思議です。
<収録中のつぶやき>
しかしこの番組、フォア・フレッシュメンがよくかかるよね。好みとはいえ(笑)。 (TOKYO FM「村上RADIO~マット・デニス・ソングブック~」2024年5月26日(日)放送より)
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