閉館のホテルニューキャッスル(青森・弘前市)元総料理長、つがる市で食堂開業 看板メニューはカレー
昨年4月に閉館した弘前市のホテルニューキャッスルで総料理長を長年務めた生田惠造さん(66)が今夏、地元青森県つがる市のしゃこちゃん温泉内で食堂「松ぼっくり」を開業した。元々は洋食専門だが、高齢者ら温泉客に気軽に利用してもらえるよう、そば、うどんをゼロから学んだ。一方、リピーターにはカレーライスが大好評。生田さんは「自分が納得できる味のものを提供しているし、今後もそうしていきたい」と料理人の自負を口にする。 生田さんは旧木造町(現つがる市)出身。高校卒業後に同ホテルへ入社し、レストラン、宴会部門でフレンチなど洋食の調理を長年担当した。約3年前に退社するまで約15年間総料理長を務めたほか、専務取締役として経営にも関わった。退社後はゴルフ場のレストランで半年だけアルバイトをし、その後は釣りに出かけるなどして思い思いの日々を送った。温泉好きで、しゃこちゃん温泉の常連でもある。 今年3月、同温泉内にあるテナントの食堂が閉店。その後に新たな店ができる様子もなく、空きスペースが気になり始めた生田さん。「家にいてばかりではぼけてしまうかも。まだ働ける」。そんな気持ちが芽生え、6月、同温泉を指定管理する市社会福祉協議会に「自分の手で食堂を再開させたい」と打診した。妻の純子さん(64)も手伝うことになった。 食堂は8月にオープンし肉、えび天、とり天などをのせたそば、うどん、焼き肉丼など12種類を提供。価格は500~600円台が中心だ。生田さんはホテル勤務時代にそば、うどんを作った経験がなく「いろんな人たちからスープ、だしなど作り方を教わって準備してきた」と振り返る。 看板メニューはカレー。じっくり煮込んだタマネギや豚肉、トマトピューレ、蜂蜜などが使われ、病みつきになる風味豊かな仕上がり。同温泉向かいにある市役所の職員、市内の会社員らをとりこにしている。生田さんは「いろんな人が来て社会的なつながりも生まれ、感謝している。値段以上の価値を出したいし、いつかメニューも増やしたい」と意気込んでいる。 食堂は温泉客以外の利用も可能。営業は平日と祝日が午前10時~午後4時(土日は午後6時まで)。定休日は火曜。