「自分への言葉」は「自分のため」とは限らない 高橋李依さんが教える人付き合い
スポーツで使う筋肉を意識しアフレコ
―劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」はボート競技に青春を懸ける女子高校生たちの物語。ボート部員ならではの発声はありましたか。 ボート競技の専門用語がどんな状態かを都度確認したり、ボートをこいでいる最中の息づかいに注意を払ったりしていました。別録りで、いろいろな息づかいのみの収録も行ったんです。 ―スポーツなどの激しい体の動きがともなう際の声の演技で意識していることはなんですか? どこの筋肉に力が入るのかは意識しました。アフレコではマイクの前に立って演じるしかありませんが、実際にはどの筋肉がピンと伸びているのかとイメージしながら声を出すようしています。腕に力が入っているのか、足に力を入れているのか、片腕だけなのか、両腕の筋肉を使うのか……。力の入り具合を意識しながらのお芝居を心掛けました。
作品に出ない「仮のボイスキャスト」に助けられ
―アフレコの向き合い方は、劇場アニメとTVアニメでは異なるのでしょうか。 今作は特に、CGの作品であったことも大きかったと思います。CG作品では、より長い時間をかけて映像づくりをしていて。実は、キャラクターの声を担当する私たちがアフレコをするよりも先に、仮のボイスキャストさんが声をあてていたりもするんです。 私たちはその仮の声が入った、完成しつつある映像を見て、会話のテンポ感やタイミング等をチェックしていきます。仮の声を聞くと、制作スタッフさんたちの目指している方向性もとても分かりやすく伝わってきますね。 ―そのような制作手法があるのですね。 はい。実は、演じたお芝居が表に出ないキャストさんもいらっしゃるんです。私自身、デビュー間もない新人声優だったころ、仮のボイスキャストとして作品に参加して経験を積ませていただいたこともあります。 劇場アニメ作品はセリフ量も多いので、アフレコ現場の経験が少ない新人にとって貴重な場。きっと今作の仮のボイスキャストさんたちも、役と向き合いながら一生懸命演じてくれたのだと伝わってきます。みなさんにはすてきなガイドをありがとうございますと伝えたいですし、近い未来、共演する機会を楽しみにしています。