「10代若者から性的写真買い取り」疑惑の司会者、BBC退社 報道受け昨年から出演停止
イギリスの公共放送BBCは22日、20年にわたり看板番組の司会者を務めたヒュー・エドワーズ氏(62)がBBCを退社したと発表した。エドワーズ氏は昨年7月、10代の若者に性的な写真を要求し、金銭を払い続けたとする報道を受け、番組への出演が停止されていた。 エドワーズ氏はBBCで最も知名度の高いニュースキャスターで、重要な国家的行事の報道に起用されることも多かった。 BBCは22日に短い声明を出し、「ヒュー・エドワーズが本日辞職し、BBCを去った」と明らかにした。 また、「40年間務めたヒューは、医師からの助言に基づいて(退社を)決断したと説明した」とし、「BBCは彼の辞表を受理した。これによりすべての当事者が前に進めると考えている。我々はこれ以上コメントするのは適切ではないと考えている」と述べた。 ■警察の対応はなし エドワーズ氏が「深刻なメンタルヘルスの問題」で入院したと妻が公表してから9カ月後、エドワーズ氏はBBCを離れた。 警察は犯罪行為があったことを示す証拠がないとして、エドワーズ氏ついて対応は取らなかった。 同氏をめぐる疑惑は、英大衆紙サンが昨年7月に司会者が3年間にわたり性的に露骨な写真を10代の若者に要求し、計3万5000ポンド(約640万円)を支払ったと報じたことで浮上した。相手は当初、17歳だったという。 同紙は若者の母親と継父の話としてこの疑惑を報じた。しかし、若者の代理人弁護士は、司会者との間で「不適切なことはなかった」とし、若者が被害を受けたとする主張は「ばかげている」と語った。 サンとBBCはエドワーズ氏について、別の数件の不適切行為に関する訴えも報じた。BBCはこうした事態を受けて内部調査を開始した。 若者の母親は22日、自分の家族は「1年近くの間、非常に」苦しんできたとサンに語った。 「(エドワーズ氏が)辞めたことで、私たちが切実に必要としている答えを、この先得られないのではないかと心配している」 「ヒューが何か悪いことをしていたと判明しても、彼に対して対応を取ることができなくなってしまう」 ■「重いうつで治療」と妻 サンが昨年に「BBC司会者」による疑惑としてこの件について報じると、司会者が誰なのか憶測が飛び交った。報道から数日後、エドワーズ氏の妻ヴィッキー・フリンド氏が声明で、渦中の司会者は自分の夫だと公表した。 妻は「『BBC司会者』に関する最近の報道を受け、夫ヒュー・エドワーズに代わってこの声明を発表します。私たち家族にとって、非常に困難な5日間でした。なによりも彼の精神的ウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)への懸念から、そして子どもたちを守るために、このような行動をとっています」と説明。 「ヒューは深刻なメンタルヘルスの問題を抱えています。すでに詳しく報じられているように、彼は近年、重いうつの症状で治療を受けてきました」と、エドワーズ氏が重いうつ状態にあり治療を受けていたと語った。 ■看板番組の司会者を長年務める BBCは今年2月、サンが記事を掲載する2カ月前の昨年5月に若者の家族から寄せられた申し立てへの対処をめぐり謝罪した。 昨年7月から出演が停止されていたエドワーズ氏は、公にコメントしていない。 通常、停職中でも給与は全額支払われる。エドワーズ氏はBBCで最も年俸が高いニュースキャスターで、2022年から2023年にかけて43万5000ポンド(約8400万円)から43万9999ポンド(約8500万円)を受け取っていた。 エドワーズ氏に退職金は支払われなかったことをBBCは認めた。 ウェールズ出身のエドワーズ氏は1984年、BBCニュースに研修生として加わった。2003年には、BBCの看板番組として広くとらえられている「Ten O'Clock News(夜10時のニュース)」のメイン司会者の1人になった。 また、総選挙や英王室メンバーの結婚式や葬儀などで司会や解説を担当。2022年にはエリザベス女王の死去を国民に伝えた。 (英語記事 Huw Edwards leaves BBC on medical advice)
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