「ライオンの隠れ家」予想だにしないラストに驚き…【長い散歩】【寅じいの七面鳥】【またね】
洸人にだって「長い散歩」をしたい時もある…
前話でみっくんのことを誰よりも分かっている洸人が急に姿を消すなんてありえないと思っていた筆者は、最終回でその理由が描かれるのを待っていたが、ここまでで既にストンと納得ができた。なぜならば「一人になりたい時がある」事も「長い散歩」をしてしまう事も、誰しも当然あることで(「長い散歩」の方は、筆者の場合、最後は道に迷って帰りはタクシーで帰る羽目になることが多い)、それを洸人にだけは当てはめず、聖人君子のような行いを求めていた自分が恥ずかしくなった。 そんな1日だけの〝初めての家出〟から帰った洸人を、みっくんはまだ受け入れられていなかった。そこで、また愛生が「どれだけ近くにいてもお互いが何を思ってるかなんて分からない。想いは言葉にしてちゃんとぶつけないと」と洸人にアドバイスした。 みっくんやライオンらも参加した同僚の結婚10周年パーティーで急きょスピーチすることになった洸人。「障害を持つ弟のことをあまり話すことはなく、聞かれても言葉を濁してきた」と話し始めた洸人は、大勢の前で、堂々とみっくんの優しさを誇り、才能に自身も嫉妬したことがあるくらいだと自慢。大きな拍手を送られた。 タイトルにあるように、家は周りから身を隠して守ってくれる安全な場所=プライドの側面である一方、見えないようにして孤立してしまう危険性もある場所。このドラマの中では天真爛漫なライオンがやって来て、洸人とみっくんの2人の世界をどんどん無理やりこじ開けるように広げていく〝変化〟の1部として描かれた。
最後まで我らの寅じいは大活躍! 相変わらずみっくんにツッコまれて…
あ、2人と言ってしまったが寅じい(でんでん)はずっと傍にいてくれた家族だったので、3人と訂正したいと思う。そんな寅じいは、最後まで心温まる重要シーンを担って大活躍! 来年からは洸人が東京の大学へ行き、みっくんがグループホームへ入ることを決めバラバラになることが決まった最後のクリスマス。大きな七面鳥を持って来るサンタクロースになったのだ。変装して登場したが、みっくんに「寅じいです」とバラされて、ワチャワチャする様も本当に可愛らしく微笑ましいシーンだった。また、就職が決まらない愛生を自分の店で雇ってくれる優しさを含め、このドラマの多くのキャラクターがそうであるが愛おしいキャラクターだなあとしみじみ感じさせられた。 結局、祥吾が逮捕されてから明らかになると思っていた事件の全貌は最後まで分からずじまいで終わったのには少々脅かされたが、例えばそのシーンが増えて寅じいのサンタがなくなってしまう方が考えられず、視聴者の求めているものをしっかりキャッチしたドラマ作りだなと感嘆させられた。 そして、いよいよラストシーン。家の前で別れ別れになる結末なんて予想だにしていなかったけれど、バスに1人で乗るみっくんの姿を見つめながら胸が熱くなった。「じゃあ、またね」。再会するまで家族それぞれがチャレンジする前向きな別れなんて、最高なハッピーエンドじゃないか!と思え、洸人と一緒に笑顔で見終えることができた。最終回まで「ごちそう様でした」。
西日本新聞社