カニ味わい復興後押し 近江町市場、輪島港の香箱で鍋
●初物、価格平年並み ●加能は3000~2万5000円 香箱600~3000円で販売 石川県産の雄のズワイガニ「加能ガニ」と雌の「香箱ガニ」の初物が9日、県内の鮮魚店やスーパーに並んだ。しけのため入荷量は例年の半分だったが、価格は平年並みで、漁解禁から2日遅れとなった「冬の味覚の主役」を待ちわびた買い物客らで活気づいた。金沢市の近江町市場では輪島港で水揚げされた香箱ガニのカニ汁が振る舞われ、「食べて復興を後押しする」と多くの人が列をつくった。 ●しけで入荷例年の半分 「カニ解禁」「初売りですよ」。近江町市場では午前9時の営業開始とともに、店員の威勢のいい声が飛び交った。積み上がった初物を熱心に品定めする地元住民らでにぎわい、珍しそうにスマートフォンで記念撮影する外国人観光客の姿も見られた。 鮮魚店「大口水産」では1匹当たり、加能ガニが3千~2万5千円、香箱ガニが600~3千円で売られた。荒木優専務は「しけで初売りが2日遅れた分、いつも以上に待ちわびた人であふれている。価格も思ったより上がらず、買い求めやすくなっている」と話した。 毎年、初物を買っているという金沢市の安田喜代美さん(77)は香箱ガニを10匹購入し、「ずっと楽しみにしていた。やっぱり地元のカニが一番いい」と声を弾ませた。 近江町いちば館広場では能登半島地震と奥能登豪雨からの復興応援企画として「カニ鍋大会」が開かれた。カニ汁400食が1杯300円で提供され、買い物客らが熱々の一杯を堪能した。売り上げは被災した漁業者の再建に役立てられる。 長崎県対馬市の住村仁さん(69)は「能登のカニは今まで食べた中で一番おいしかった。買うことで少しでも復興につながればうれしい」と話し、白山市の会社員八十田直樹さん(48)は「例年よりもたくさん食べて能登を応援したい」と思いを寄せた。