MONKEY MAJIK、初開催した仙台の音楽フェス【enigma music fes 2024】のオフィシャルレポート到着
7月27日、朝からあいにくの雨模様ではあったものの、夏の厳しい暑さもひと休みといった過ごしやすい仙台の地で、音楽イベント【enigma music fes 2024】が仙台GIGSで今年初開催された。 その他の画像 本イベントはホストとなる宮城県在住の4ピースハイブリッドロック・バンド、MONKEY MAJIKの“東北の魅力を知ってもらいたい”、“東北の夏をより一層熱くしたい”という郷土愛あふれる熱い思いが発端となり始動した仙台の新しい夏フェス企画。出演者は、TENSONG、HY、Def Tech、ELLEGARDENとMONKEY MAJIKとゆかりの深い豪華なラインナップが揃った。 タイトルに使われている“enigma(エニグマ)”とは、「謎めいた」という意味を持つ言葉。第一回目となる今年は、文字通り、どんなことが起こるのか予想のつかない無限大の可能性を秘めているとあってか、チケットは発売直後にSOLD OUTとなり音楽ファンの関心の高さが伺えた。 開場早々、スタンディングエリアは、各バンドのファンであふれ、初開催ならではの緊張感と期待感に早くも会場は熱を孕んでいた。その空気を感じてか、ステージMCが「記念すべき1回目の目撃者に皆さんがなるんですよ」と熱い言葉を放ち、1組目のアーティスト・TENSONGをステージに迎え入れた。 メンバーが一列に並び「どうも皆さんはじめまして!」と勢いよく挨拶すると、3人で深々と一礼。「今日はトップバッターとして、俺たちの気持ち全力で皆さんに届けます」と、たか坊(V)が決意を伝えると場内からはあたたかい拍手が寄せられた。そんな彼らが挨拶代わりに選んだ曲は「Bye Myself」。これまでの好青年の様子から一転し、赤裸々な言葉を紡ぐ歌い出しから、早くも観客の心を掴んだ。サビに向かうにつれ、パワーが放出されるボーカル力に圧倒されつつも、跳ねるビートに自然と体が動き、少しずつ会場があたたまってくる。続いて披露した「嫌われる勇気」では、DJブースからアルフィ(DJ)がクラップとジャンプを促し、高まった熱を一層、グンと引き上げ、その後も勢いを落とさず、“俺たちの曲を聴いてくれ!”と言わんばかりに気迫のこもったパフォーマンスを見せた。 あっという間に時間はすぎ、「これからの皆さんの幸せを願って最後にこの曲を届けます」というたか坊のMCの後、ギターの美しいアルペジオが流れ「A HAPPY RAINY DAY」が始まった。拍子が変わるサビでは、情熱的な歌声に合わせて拓まん(G)がギターをかき鳴らし、会場を震わせる。最後まで観客を惹きつけたまま全6曲を終了し、初開催イベントの記念すべきトップバッターにふさわしい、爽やかかつエモーショナルなステージをオーディエンスに届けた。 TENSONGからバトンを引き継ぎ、三線の音色と共に登場したのは、HY。メンバー4人が、お揃いのかりゆしウェアを着て「沖縄から来ましたHYです!」と元気に自己紹介するやいなや、ライブの定番曲「隆福丸」で観客のボルテージを一気に跳ね上げた。休む間も無く、「次の曲! 一緒に歌いましょう! AM11:00」とコールしイントロを奏でると、フロアからは歓声が上がり、サビでは特大のシンガロングが発生する。 今年4月に、楽曲をモチーフに月9ドラマのストーリーが作られ、また新たなファンを生んだHYの代表曲「366日(Official Duet ver.)」を紹介すると同時に、会場は大歓声に包まれた。仲宗根(K&V)と新里(V&G)の情感たっぷりな歌声が、聴く人に思い出を甦らせ、胸に両手を添えて想いをこらえる人やあふれる涙を拭う人の姿が見受けられる。 切ないラブソングの空気が一転し、三線と祭り太鼓から始まる「Street Story」は、アクトのハイライトとも言えるだろう。「楽しいところに皆さんを連れて行くから!」と宣言し、カチャーシーの手踊り、「イーヤーサーサー」「ハイヤー」の掛け声で観客を巻き込むと、一瞬にして会場は沖縄の空気に! ライブは、みんなで合わせてダンスする「ホワイトビーチ」をラスト曲に、ハッピーな余韻を次のアーティストへつないでいった。 続くDef Techが最初にセレクトした曲は、Shen(V)とMicro(V)のアカペラハーモニーが染み渡る「Like I Do」。ゆっくりとストレッチするように観客の心を緩ませたら、手拍子のリズムに合わせて自然と体が動き出す「High on Life」と流れ、チルなムードで滑り出した。 「しっとり始まりましたけど、ここからのDef Techはぶっ飛びますよ。HYのとき、すげー飛んでたの見てたからな。もっと飛べるんじゃないか? 準備はいいですか?」とMicroの煽りから「KONOMAMA」「Automatic」とアップビートな曲が続き、2人が生み出すグッドバイブスにオーディエンスがクラップとジャンプで応える。高揚感で上がった息を整えると、フロアには波音のSEが流れ「Catch The Wave」のお馴染みのフレーズが流れる。待ってました! とばかりに割れんばかりの拍手に包まれた。 この日は、今月リリースしたばかりの「FANTASY」も披露した。2人のハーモニーがスッと心に入り込み、永遠にリピートしたくなるサマーチューンだ。夏の夕暮れを想起させるリラクシングなサウンドにうっとりしていると、「最後の曲です」とMicro。あちこちから「えー…」と残念がる声が聞こえてくる。そんな声を一瞬にして歓声に変えたラストソングは、色褪せることのない名曲「My Way」。アカペラのイントロが静かに終わると、地鳴りのような感嘆の声が広がり、サビのシンガロングが会場に響いた。 1階のスタンディングフロアは、ELLEGARDENの開演を今か今かと待ちわびる人で、身動きが取れないほど埋め尽くされていた。登場SEが流れると自然とクラップが沸き起こり、メンバーが定位置に着く。投下したのは、特徴的なギターリフの一音で悲鳴にも近い歓声が上が「Salamander」。スタートから単独公演さながらの盛り上がりは冷めることなく、そのままの勢いで「Space Sonic」へとアグレッシブなナンバーを畳みかけた。 「Moutain Top」を終え、「MONKEY MAJIKとは、結構付き合いが長くて…」と細美がエピソードを語り出した。「震災があって、MONKEY MAJIKがイベントやるときに、俺、弾き語りで呼んでもらって、その辺から段々、仲良くなっていって。なんか不思議なんですよね。すごい長い年月をかけて、友達になった奴らの前でこうして新曲を今みたいに演奏できる。新しい未来みたいなものが、諦めないと結構色々あるんだな」意外な組み合わせにも思えた2組には、音楽を通してゆっくりと築き上げた友情があったのだ。その流れから、「高架線」を観客と一緒に歌い上げるシーンは、熱いものがグッと込み上げてきた人も多かったことだろう。エモーショナルな余韻を残しつつ、最後は「Make A Wish」から「虹」へと燃え尽きるようにELLEGARDENは全10曲を終えて、ステージを後にした。 そして豪華なゲスト陣により、最高潮にあたためられた会場の最後に登場したのは、本日のホストであり、イベントの大トリを務めるMONKEY MAJIK。いきなりコール&レスポンスから始まるアップテンポな「虹色の魚」でライブの幕を開けると、キャッチーなサビに合わせて、会場が揺れるほどオーディエンスが飛び跳ね、一曲目にして早くも一体感が生まれる。イントロから激しいギターサウンドが駆け抜けるアップビートなロックソング「XYZ」で、勢いを落とさずフロアを盛り上げると、お馴染みの銅鑼の音が。「I want to fight your brother」「Let’ Kung-Fu!」と掛け声を決めて、その名を世に知らしめた「Around The World」へ。サビのフレーズに合わせ、手をぐるぐると回しライブを体中で楽しむファンの姿に、メンバーたちのボルテージも一気に上がったようだ。 ここからは、【enigma fes】ならではのスペシャルコラボステージが展開されていく。仙台で音楽活動を続ける仲間の一人・ヒップホップユニットGAGLEのHUNGER(MC)がサプライズ登場!コラボレーションした楽曲「This Is The Night」を披露し、大人なおしゃれムード漂うサウンドに観客はゆっくりと体を揺らした。 次に、“very very close friend”と言ってMaynardがステージに呼び寄せたのは、直前に圧倒的なパフォーマンスを見せたELLEGARDENの細見。そんな2組が選んだのは、ビートルズのナンバー「Across The Universe」。イントロ後にTAXのドラムが入るバンドバージョンで、歌い出しから細見、Maynard、Blaiseの絶妙なハーモニーが会場全体に広がる。サビで繰り返される「Jai Guru Deva」の異空間に誘うような美しいハモリには、ただただうっとりするばかりだった。そんな多幸感に満ちたステージを引き継いだのは、ハッピーオーラ満載のHY・新里。「僕、早速夢が叶いそうです。夢が叶う瞬間ってこんなにもドキドキが止まらなくて、こんなにも嬉しくてやばいんですよ。夢が叶う瞬間の一人の男を皆さん、見守ってくれませんか!」と言って奏で始めた「Change」。津軽三味線のパートを三線で力強く演奏し、その響き渡る音色でオーディエンスを痺れさせた。このゾーンのラストは、Def Techとのコラボ曲「O.G. Summer」。 曲の途中で、MVでも披露したダンスを再現し、ゴキゲンな“オジサマ”たちのパーティーソングで、会場中に笑顔が広がる。 共演アーティストたちに感謝を伝え、後半ラストスパートは、7月24日にリリースされたばかりの14thアルバム『CIRCLES』から「Scramble」、手拍子が鳴り響く「A.I. am Human」に続き、木々のきらめき、風の匂いを思い起こさせる名曲「Together」と新旧織り交ぜたセットリストでバンドの魅力を存分に伝えた。 いつの時代も日常に彩りを添えるグッドミュージックをプレゼントしてくれるMONKEY MAJIK。最後に選んだ曲「空はまるで」もそのひとつだろう。最後はみんなでサビを大合唱して、ハッピーエンドでイベントを締めくくった。 「今年は始まりにすぎない」と最後にTAXが話したように、来年は規模も内容もパワーアップした“仙台の夏フェス”となって帰ってくる【enigma music fes】を今から期待せずにはいられない。 Text by 山岡ミナリ Photos by AmonRyu ELLEGARDEN Photos by Tsukasa Miyoshi (Showcase) ◎公演情報 【enigma music fes 2024】 2024年7月27日(土)宮城・仙台GIGS