『インフィニティ・プール』死刑執行シーン本編映像公開 伊藤潤二、小島秀夫らコメントも
4月5日に全国公開されるブランドン・クローネンバーグ監督最新作『インフィニティ・プール』より、死刑執行シーンの本編映像が公開された。 【写真】死刑を宣告されたジェームズの妻(クレオパトラ・コールマン) 本作は、デヴィッド・クローネンバーグを父に持ち、自身も『アンチヴァイラル』『ポゼッサー』などを手がけるブランドン・クローネンバーグの長編第3作。 スランプに陥り徐々に堕落していく作家・ジェームズを、スカルスガルド兄弟の長男で『ターザン:REBORN』『ビッグ・リトル・ライズ』などに出演するアレクサンダー・スカルスガルドが演じ、そんな彼を奇妙で恐ろしい世界に誘う女・ガビ役でタイ・ウェスト監督作『Pearl パール』のミア・ゴスが出演。そのほか、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』のトーマス・クレッチマン、『月影の下で』のクレオパトラ・コールマン、『イヴ・サンローラン』のジャリル・レスペールらが脇を固めている。 公開された映像では、旅先のリゾート地で交通事故を起こしてしまい、死刑を宣告された主人公ジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)に死刑が執行されるシーンが映し出されている。だだっ広く薄暗い部屋の中、お腹の部分だけ丸くくり抜かれた服を着用し後ろ手に柱に縛り付けられたジェームズ。緊張感あふれる表情で固唾を飲んで見守る被害者遺族、そして加害者のジェームズと妻のエム。ナイフを片手にした処刑人が被告のジェームズに近づいていく。いつものクールな態度はかなぐり捨てて涙を流しながら身をよじり、必死に命乞いをするジェームズだったが、処刑人が容赦無くナイフを彼の腹部に刺す。映像の最後では、自分が処刑される様子を冷静に見つめるジェームズの姿も確認できる。 また、『インフィニティ・プール』の公開を記念して、池袋HUMAXシネマズにてブランドン・クローネンバーグ監督の父、デヴィッド・クローネンバーグの4K・特別版の特集上映が決定。3月22日から28日にかけて『ビデオドローム 4Kディレクターズカット版』が、3月29日から4月4日にかけて『クラッシュ 4K無修正版』が上映される。 さらに、伊藤潤二、小島秀夫、ヒグチユウコ、竹中直人、大島依堤亜ら各界のクリエイター・著名人から絶賛コメントも到着した。 コメント 伊藤潤二(漫画家) 自分のクローンが処刑されるのを見せられるなんて。ああ、恐ろしい!しかし待てよ?・・処刑されたのは本当にクローンの方か?・・どちらにせよ恐ろしい。 岩井志麻子(作家) 禁忌は厄介なことにすべて魅惑的なのだ。しかし禁忌はやはり踏み込んではならぬ。 この映画でそれを知り、魅惑に浸るだけにしてほしい。 大島依提亜(デザイナー) 危ない目に遭いまくったり、自らその危険に身を投じたりする際に“命がいくつあっても足りない”と言いますが、足りないならば足せばいいという発想の転換。ただし足せば足すほど個々の命は軽くなる。そのあたりは監督のお父様が撮られた『クラッシュ』のアンサーだったりするのかな。 こがけん(芸人) オーマイガー! 休暇中の旅行者を地元民が襲う〝辺境の地ホラー〟と思いきや…そうきたか! 中盤で現れるまさかのSF要素とミア・ゴスのミア・ゴスっぷりを極めた演技に、もうワクワクが止まらない! 人間の醜さと狂気を炙り出し、自他の境界線を溶かす〝インフィニティ・プール〟は、血で真っ赤に染まっている! 小島秀夫(ゲームクリエイター) ブランドンは、ジャンル映画の“淵”を破壊し、映画の“インフィニティ・プール”を現出させた。冒頭からラストまで、全く予想がつかない。コークスクリュー・コースターで、嘔吐と依存を繰り返しているようだ。リアルと夢の狭間を往復する酩酊感。何処までも生臭いアナログ感。喪失後に繰り返される、産まれ堕ちる恍惚感。犯罪を犯し、良心を侵し、リプレイする罪悪感。まさに底なし沼から抜け出せないビデオゲームの危うさにも似ている。これは、体と脳の“淵”を取り払った“インフィニティ・ホラー”だ。ブランドンの才能は、“インフィニティ 無限”だった。 竹中直人(俳優・映画監督) たまらない映画を観てしまった…。ミア・ゴス! また新たな挑戦をしやがったなっ!! ほとばしるミア・ゴスの邪悪ないざない! 堕ちろ! 堕ちろ! 堕ちろ! 潰せ! 潰せ! 叩き潰せ! 恐るべきブランドン・クローネンバーグ! すげ~映画を観てしまった!!最高だぜっ!!! 玉城ティナ(俳優) 何がまともか。人間としての形を何が証明するのか。自分が目の前にいたら、私は何と声をかけるだろう。 永江二朗(映画監督『リゾートバイト』) 絶対に先が読めない展開! 全てが想像の斜め上をいく! これぞクローネンバーグの血脈!! ヒグチユウコ(画家) 万人にはお勧めしませんが 万人には勧められない作品のほうがお好きなひとにはぜひ観てほしい。 平山夢明(作家) クローネンバーグの倅が放った新世紀の阿呆宮! まるでセルロイドの味噌汁を吞まされたような目眩がするぜ! 皆口大地(『ゾゾゾ』『フェイクドキュメンタリーQ』) 白昼夢の幻想か、二日酔いか。これぞ最低最高な地球の歩き方である! 人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー) 美しいリゾート地を陰惨な暴力が覆い尽くす。R18も納得しかない悪意の極致。父親のクローンではない、ブランドン監督自身の作風を確立している。 野水伊織(映画感想屋声優) インフィニティ・プールがそうであるように、自己とクローンも境目を失くし融和する。 そうしたアイデンティティの危機がなぜか心地よく、 定期的に自分を手放したくなる私にはあのラストシーンがとても羨ましく見えてしまった。
リアルサウンド編集部