「妹だけどライバル。絶対に負けられない」阿部一二三、史上初“兄妹連覇”を目指すパリ五輪へ最速内定後のいまを語る
真鍋杏奈が聞くパリ五輪への決意 Vol.1 柔道・阿部一二三<前編>
東京2020の興奮から2年。パリオリンピックの開幕まで、早くも10か月を切ろうとしている。個人種目では熾烈な選考レースを勝ち抜いた選手たちが出場内定を掴み、また団体種目では代表チームが予選を勝ち抜き、本大会への出場権を勝ち取っている。本番を翌年に控え、代表の座を掴んだ選手たちに大舞台への意気込みを訊く。今回は日本柔道では最速で五輪内定を掴んだ阿部一二三に話を聞いた。 (取材・文=真鍋杏奈/フリーアナウンサー) 【画像】東京オリンピックで輝いた「日本人メダリスト」を一挙紹介! ――◆――◆―― 2021年7月25日。日本柔道の歴史が動いた。 東京五輪柔道男子66キロ級阿部一二三、金メダル獲得。女子52キロ級阿部詩、金メダル獲得。五輪史上初、兄妹で同じ日に“オリンピックチャンピオン”となった。 先に妹の詩が勝ち、その32分後に兄の一二三が勝利した。日本中が歓喜に沸いた瞬間だった。兄の試合を見守っていた妹が飛び跳ねて満面の笑顔で喜ぶ姿と対照的に、兄は畳の上では表情を崩さず、去り際に安堵した表情を見せたことを今でも覚えている。 その偉業を成し遂げた二人は、今年5月に行なわれた世界選手権でも兄妹同日優勝を果たし、強化委員会を経て、6月に日本柔道史上最速でパリ五輪代表の内定を決めた。 遡ること2020年12月。一二三選手は、東京五輪代表争いで、前代未聞の丸山城志郎選手とのワンマッチ対決を、24分間の死闘の末に制し、全階級で最後に代表の座を射止めたが、今回は男子の中で一番乗りに五輪の切符を掴んだ。 自身の連覇だけでなく、史上初めて兄妹での連覇も懸かるパリ五輪について、その覚悟と今の想い、そして前回の東京五輪で感じたことや妹詩選手の存在についても余すことなく伺った――。 ――パリ五輪代表の内定が最速で決まった時はどんなお気持ちでしたか? 阿部 前回の東京五輪では最後に決まったので、気持ちの部分の余裕というか、五輪までに長い準備期間をとれるというのはすごくメリットに感じました。 ――東京五輪代表の時は、丸山選手とのワンマッチの対戦に勝って内定を決めましたが、今回も5月の世界選手権決勝の相手がその丸山選手で、同じく勝利したことにより内定を獲得しました。 阿部 ずっとライバル関係でやってきていて、しっかり(丸山選手に)勝ちきって代表が決まったので、よかったなと。またひとつ自信にもなったと実感しています。 ――内定が決まって約5か月経ちましたが、今はどんな心境で練習されていますか? 阿部 パリに向けてのことしか考えていません。どうしたら2連覇できるのかを考えて練習しています。