“ウォー・タンク”やイカついトラック、戦闘用車両にバイクまで!『マッドマックス:フュリオサ』の登場車両を徹底紹介
世界中を大熱狂の渦に包んだ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)から9年。同作でシャーリーズ・セロンが演じた最強の戦士フュリオサの怒りの“原点”を、アニャ・テイラー=ジョイを主演に迎えて描く『マッドマックス:フュリオサ』が公開中。 【写真を見る】計145台の車両が荒れ果てた地を駆け抜ける! ジョージ・ミラーが生みだした「マッドマックス」サーガでは、これまでもV8インターセプターをはじめ、カワサキZ1000や“ヒューマンガス・トラック”など、カッコよくて個性的な車両が次々と登場。前作『怒りのデス・ロード』では主要登場人物それぞれを象徴する乗り物が登場し、それが衣装や髪型、武器などと同じようにキャラクター設定の延長線上にある重要な役割を果たしていた。 そしてそれは、今作『フュリオサ』でも継続。劇中に登場する車両は車型が35台、バイク型が110台の計145台。本稿ではそのなかから主人公のフュリオサ(テイラー=ジョイ)や宿敵ディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)を象徴する車両を中心に、映画を観る前に予習しておきたい&観終わったあとに振り返ってみたい車両を紹介していこう。 ■「マッドマックス」といえばやはりこれ!迫力満点の“ウォー・タンク” まずは前作『怒りのデス・ロード』で、フュリオサがイモータン・ジョーの“ワイブス”たちを自由へと導くために運転した巨大なタンカートレーラーの“ウォー・タンク”。前作に引き続き今作でも美術監督を務めたコリン・ギブソンは「まるで冒険の幕引きへ近付いていくイモータンの歴史のようで、獣であり、世界の終わりを暗示するような存在だった」と、前作の“ウォー・タンク”について説明する。 今作でこの“ウォー・タンク”を運転するのは警護隊長のジャック(トム・バーク)。ギブソンが「前作では年老いたナポレオンだったが、今作ではルイ14世や太陽王。より大きく壮大で、洗練されたウォー・タンクが登場する」と説明するように、前作とは打って変わって真新しい姿でスクリーンのなかを躍動していく。 Kenworthの900シリーズのヘビーデューティーキャブトラックを改造し、外装は光沢のあるステンレススチールとクローム仕様。馬力は1800rpmで460kW。トルクは1200rpmで2780Nm。ギラギラに輝くタンクの側面にはイモータン・ジョーの伝説の物語が浅浮き彫りで施されているのでよく目を凝らしてチェックしてほしい。 ■自由へ向かう“逃亡車”!バリアント&クランキー・ブラック サーガには欠かせない“逃亡用”の車両として使われるのは“バリアント”。V8ではなくスラント6エンジンを搭載したこの車両は、ギブソンいわく「チューンアップされ、スーパーターボモードになっている」とのこと。馬力は400rpmで108kW。トルクは2400rpmで291Nm。塗装も剥がれ、赤がまばらに残っているのがポイントだ。 もう一つフュリオサが運転するのは、戦闘用車両の“クランキー・ブラック”。元々はイモータン・ジョーの息子スクロータス(ジョシュ・ヘルマン)の持ち物で、それを奪い取ってフュリオサを象徴する車に。ミラー監督の要望で砂丘を走行できるよう、フロントに取り付けられていたモーターはリアに移動。さらにいくつかのパーツを削ぎ落とし、リアにターボ給気式V8エンジンが搭載されたのだとか。馬力は5200rpmで171kW。トルクは300rpmで375Nm。 ■ディメンタスの威厳を示す!チャリオット&シックス・フット 対するディメンタス将軍を象徴させる車両の一つは、既存のバイクを大幅にアップグレードした“チャリオット”。ディメンタスをより目立たせるため、そしてギブソンの「ディメンタスは空から落ちてきたイカロス」というイメージを具現化するように、ロテック7気筒R2800という航空機用エンジンを横向きに搭載。とはいえ技術的な問題も多く、メンテナンスはかなり大変だったとか。 さらに黒い馬に見立てるため、チャリオットの前方にBMWのR18をペアで並べるアイデアを考案したというギブソン。するとミラー監督は、もう一台、星形エンジンバイクをR18のペアの間に配置。より強靭で唯一無二の乗り物へと昇華した。 [IMAGE]13131456[/IMAGE もう一つディメンタスは、大きな支配力と多くの燃料と人員を手にした後、六輪のイカついモンスタートラックに乗り換える。これが“シックス・フット”。レイジーアクセル方式を採用しており、物を積んだ状態でどんな場所でもオフロード走行が可能に。搭載されているのはシボレーの454ビッグブロックエンジン。馬力は6500rpmで750kW、トルクは5000rpmで1356Nm。荒れ果てた地で出くわすあらゆるものを牽引する力を備えている。 ほかにも、MADな世界には欠かすことのできないバイカー集団は、バイクの種類によっていくつかのグループに分けられていたり、フュリオサの母メリー・ジャバサが乗るサンダーバイクなど、隅々までこだわり抜かれた車両が本作の熱気と興奮をさらに高めてくれる。登場する車両の数々に注目しながら、臨場感と解放感に満ちたド迫力ライドを存分に味わおう! 文/久保田 和馬