イスラエルはラファで軍事活動即時停止を、国際司法裁が命じる
(ブルームバーグ): 国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ南部ラファでの軍事活動を即停止するよう命じた。イスラエルの行為がジェノサイド(民族大量虐殺)に当たると主張した南アフリカ共和国の訴えを部分的に認めた。
ICJ所長は24日声明を読み上げ、イスラエルは人道支援目的でラファの境界を開放する措置を講じ、その措置について1カ月以内に報告書を提出するよう要求。さらに、ジェノサイドの疑いを調査する国連など国際機関に「自由なアクセス」を保障することも求めた。
ICJは5月16-17日に公聴会を開催、双方の主張を聞き取っていた。3月28日にもICJはイスラエルに対する命令を採択したが、それ以降に「ガザの人道危機は一段と悪化した」と指摘。「極めて悲惨な状況だと見なされる」と続けた。
ICJの判断には拘束力があり、上訴も認められないが、命令を強制するメカニズムはない。
南アは先週の公聴会で、イスラエル軍のラファでの軍事作戦により「回復不能な権利侵害」からガザのパレスチナ人を守るため、緊急命令を下すようICJに要請していた。この公聴会でイスラエルはガザでのジェノサイドを否定し、南アの要請は「あからさまな事実の歪曲(わいきょく)」だと反論していた。
イスラエルのスモトリッチ財務相は今回のICJの命令について、「イスラエルに戦争停止を要求する人々は、イスラエルに消滅の宣言を求めている。それには同意しない」とX(旧ツイッター)に投稿。「われわれは自分自身のため、自由な世界全体のために戦い続ける」と付け加えた。
ネタニヤフ首相の与党リクードに所属し、元国連大使のダノン議員は、ICJの決定に「言語道断」だと反発。「ガザに捕らわれている人質を帰還させ、ハマスを壊滅させることが目的の」作戦をイスラエルが止めることはないと主張した。
一方、南アはICJの命令を歓迎。
「イスラエルにガザ、とりわけラファでの軍事行動停止を明示したのは今回が初めてで、この命令は画期的だ。事実上の停戦要求だ」と南アの国際関係・協力省は評価した。