安彦良和さん「ヴイナス戦記」制作秘話にファン夢中 神戸で回顧展「手描きの可能性に挑戦」
アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインなどを手がけた安彦良和さんの功績を振り返る企画展「描く人、安彦良和」(神戸新聞社など主催)に合わせ、安彦さんが監督を務めた劇場版アニメ「ヴイナス戦記」(1989年)の上映とトーク企画が8日、同展を開催している兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1)であり、ファンが制作秘話に夢中になった。 【写真】劇場版「ヴイナス戦記」の上映後に制作秘話を話す安彦良和さん(右)と作画監督を務めた神村幸子さん 企画展は安彦さんの半生をたどる構成で、原画やポスター原案などが並ぶ。 「ヴイナス戦記」は近未来の金星で繰り広げられる群像劇が題材。実写の場面が登場する理由について、安彦さんは「アメリカでの海外ロケという話題性も狙った」とし、「野心だった」と打ち明けた。 CGの使用が本格化する前の製作だったとして「極限まで手描きの可能性に挑戦した」と回顧。それに対し、複雑な戦車の作画について、作画監督を務めた神村幸子さんが「手描きでやっちゃいかん仕事だった」と会場を笑わせた。 観覧したデザイナーの女性(56)=同市灘区=は「小学生の時から、ふっくらと色気のある安彦さんの絵のファンだった。今日は初恋の人に出会えた気分」と熱っぽく話した。 企画展は9月1日まで。午前10時~午後6時。月曜休館(7月15日と8月12日は開館)。一般1900円など。同館TEL078・262・1011(竜門和諒)