無意識に行動を操られる「ダークパターン」の危険性、「妨害」「こっそり」など知るべき7つの悪質手口
ユーザーを事業者にとって都合のよい選択に誘導するデザイン「ダークパターン」。不本意な会員登録を強いられたり、不要な商品を買わされたりするのは、気持ちのいいことではない。このようなデザインはなぜ生み出され、そして使われ続けているのか。 ダークパターン問題の提起・啓発に取り組む、武蔵野美術大学教授/コンセント代表取締役の長谷川敦士氏に、法規制の現状や、企業がうっかりダークパターンを使用しないために注意すべきことを聞いた。 【画像で見る】「いいえ」のボタンを意図的にグレーにして、クリックできないと錯覚させる事例
■ユーザーを「騙して行動を誘導」するデザイン ――「ダークパターン」とはどのようなデザインをいうのでしょう。問題となった経緯を教えてください。 端的にいうと「ユーザーを騙すデザイン」です。行動経済学には、直接的に指示せずともつい相手がその行動を取るように促す「ナッジ(「肘で人をツンツンとつつく」の意)」という概念があります。 ダークパターンはWebのユーザーインターフェース(UI)でこれを悪用したものです。ユーザー自身の心理を利用するため個人の注意不足とも紙一重であり、「騙されたのは自分のせいだ」と感じる人もいます。
そもそもナッジは、2000年代初頭から公共領域で適用されていました。例えば、重要な通知に返信させるような工夫や、エレベーターではなく階段を利用させる仕掛け、ポイ捨てを防ぐ仕掛けなどです。 人に意図しない行動をさせることの良し悪しは当時から指摘されていましたが、「特定の行動を強制するわけではなく、選択肢は残されている」という観点で許容されてきました。 ■ネットで散見される7種類の「ダークパターン」 ――ダークパターンにはどのような種類があるのでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)では7つに類型化しています。 「行為の強制」:商品を閲覧するだけのユーザーにも会員登録を求める、など。アカウント作成や情報提供など特定のタスクを強制する。 「インターフェース干渉」:「いいえ」のボタンを意図的にグレーにし、クリックできないものだと錯覚させる、など。意図的に誤解をさせる。 「執拗な繰り返し」:選択肢が「はい」「あとで回答する」しかないポップアップが何度も表示される、など。ユーザーがいつか「はい」を押すように誘導する。