強いがゆえに混迷レース。広島のMVPは誰?
「開幕前に私は広島の優勝を予想しませんでしたが、その理由が昨年15勝した前田健太が抜けた穴でした。代わりに計算のできる補強もできていませんでした。しかし蓋をあけると、野村が現在14勝でマエケンの穴を埋めました。被本塁打率が非常に低いですね。それは低めにボールが集めるピッチングができている証拠。 ただ、もしMVPが一人でなくていいのならば、ジャクソン、へーゲンズ、中崎の3人にあげたいですね。逆転勝利が41試合もありますが、それは中継ぎが踏ん張ってゲームを作ってきたからこそです。昨年のヤクルトもそうでしたが、私は、広島優勝の最大理由は、ルナ、エルドレッドの故障による不幸中の幸いだったのかもしれませんが、ジャクソン、へーゲンズ、中崎の3人による勝利の方程式だと考えています」 昨季は、防御率3.43、5勝8敗と低迷した野村だったが、今季は黒田の影響を受けて、ツーシームを内角に使うピッチングを覚えて見事にブレイクした。里崎氏が指摘するようにセイバーメトリクスで27個のアウトをとる間に何本のホームランを打たれるかの指標を示すHR/9は、0.71とランキング7位の数字だ(ちなみにトップはジョンソンの0.49)。ジョンソンと最多勝争いをしているが、タイトルを取れば、MVPの票が集まることは間違いない。 6月17、18日の交流戦のオリックス戦で、2試合連続のサヨナラ本塁打を放ち「最高でーす!」というお立ち台での叫びと、“神っている”の流行語まで作った鈴木の成績もMVP級だ。目下、巨人の坂本勇人に続き、打率ランキング2位につける.335。128試合に出場して24本、85打点。出塁率の.399と、得点圏打率の.359も突出している。 MVP選びに苦労する点も、ぶっちぎりで優勝マジックを「1」にした今季の広島カープの強さを証明しているのだろうが、過去には1位投票選手が割れた場合、2位投票選手が選ばれるという例もあり、なおさら広島のMVPが誰になるか、予想がつかない状態だ。MVP投票の締め切りは、日本シリーズ開幕日の10月22日、発表は、NPB AWARDSが行われる11月28日となっている。