米当局、「インドの富豪」アダニ会長を贈収賄と詐欺容疑で起訴
米司法省は11月20日、世界で22番目に裕福な人物で、インドの財閥アダニ・グループを率いるゴータム・アダニ会長らを贈収賄と投資家への詐欺容疑で起訴した。この起訴は、アダニらが数億ドルをインドの政府高官に贈賄し、政府のエネルギー供給契約を確保しようとしたとされる大規模な贈賄計画に関連したものだ。 司法省は、アダニ会長とグループ傘下の再生可能エネルギー企業の幹部らが、2020年から今年にかけて、太陽光エネルギー事業契約を獲得するために共謀してインド政府に2億5000万ドル(約388億円)超の賄賂を支払ったと主張している。米証券取引委員会(SEC)も、アダニが連邦証券法の反詐欺規定に違反したとして告発した。 検察は、アダニと他の幹部が虚偽および誤解を招く声明を通じて資金を調達し、米国の投資家や銀行を欺いて数十億ドルを集めたと非難した。SECによれば、このスキームを通じてアダニは7億5000万ドル(約1162億円)以上を調達しており、そのうち1億7500万ドル(約271億円)が米国の投資家から集めた資金だったという。 フォーブスは、世界で22番目の富豪であるアダニの保有資産を698億ドル(約10兆8000億円)と見積もっている。アダニは、ロレアル創業者の孫であるフランソワーズ・ベタンクール・メイエール(保有資産708億ドル)に次ぐ富豪となっている。 アダニ・グループは2023年時点でインド第2位のセメント生産企業であり、2022年には380億ドル(約5兆8900億円)の収益を上げ、その年に2万6000人以上を雇用していた。同グループの資産には、インドで最も忙しい港や300万以上の顧客を抱える送電網、さらに8つの空港が含まれる。 アダニのこの起訴は、米国の空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチがアダニ・グループをめぐる不正会計疑惑に関する報告書を発表してから1年以上経過した後に行われた。この報告書は、アダニ会長と同社が大規模な詐欺や株価操作を行ったと非難するものだった。 アダニは一時期、テスラのイーロン・マスクに次ぐ世界で2番目の富豪になっていたが、ヒンデンブルグのレポートを受けて彼の資産は650億ドル(約10兆784億円)減少し、その地位を失っていた。このレポートはまた、アダニ・グループの時価総額を1120億ドル(約17兆3700億円)減少させていた。 現在62歳のアダニは、大学中退後に事業を立ち上げて、商品取引や港湾ビジネスに携わり成功を収めた。彼は、2020年にムンバイ国際空港の過半数株式を取得し、アダニ・グループをインド最大の空港運営会社に押し上げた。
Antonio Pequeño IV