アク抜き・炒め煮不要!超簡単「ネオ豚汁」の凄み、味の決め手の「ごぼう」はささがきにしなくて大丈夫
大根を1mm厚のいちょう切りにします。煮込む時間を短縮するために厚めに皮をむき、なるべく薄く切りましょう。 にんじんも同様になるべく薄く切ります。にんじんの皮は出荷前にむかれているので洗うだけで大丈夫。ヘタの硬い部分を切り落とし、半分に切ってから半月切りにします。 ごぼうはささがきにすることが多いですが、案外手間です。また、ささがきは繊維が残り、しっかりとした食感になるので豚汁には不向き。そこで繊維を断ち切るようにまず斜めに薄切りにします。
そして端から千切りにすればOK。ささがきよりも繊維が短くなるのでかみ切りやすく、味もよく出ます。 豚肉は長さ2cmに切ります。大根、にんじん、ごぼう、豚肉を鍋に入れ、水を注ぎ、中火にかけます。豚汁の作り方で炒めてから煮る作り方をよく見かけますが、炒めてから煮出すと具材から溶出されるうま味物質の量が減るため、水ではなく別にとっただしを使う必要が出てきます。このように水からゆっくりと煮出すことで、わざわざだしを準備しなくても野菜と豚肉から出るだしで味わいをまとめられるのです。
基本的には鮮度のいい豚肉を使えばアクはあまり出ないので気にしなくても大丈夫。 煮汁が沸いてきたら酒粕に70mlほど注いでおきます。この工程で酒粕がやわらかくなり、後から溶きやすくなります。 半量のみそを溶き入れ、弱火で10分煮込みます。この段階ですべてのみそを加えると香りが飛んでしまうので、最初に半分入れ、仕上げにもう半分加えるのが基本です。 10分経ったので大根の硬さを確かめます。硬ければさらに2~3分煮込み、やわらかくなっていれば火を止め、残りのみそと酒粕を溶き入れたら出来上がりです。みそは製品によって塩分が異なるのでここで味見をしましょう。しょっぱければ水を足し、物足りなければ醤油で調整します。
酒粕を入れることでぽってりとした味わいになります。具材が多いので顆粒だしなどを加える必要はありません。逆にうま味が多すぎるとクドい印象になり、すっきりとしたおいしさがなくなってしまいます。適度な塩味、適度な脂分、適度なうま味を知るのに豚汁はぴったりの教材かもしれません。
樋口 直哉 :作家・料理家